ネガティブがエンジンに 常に戦ってきた

スタートはネガティブでも、傷ついた分だけプラスに変えていきたい
スタートはネガティブでも、傷ついた分だけプラスに変えていきたい

 私は、ものを作るときにネガティブなことがエンジンになっています。「こんな嫌な思いをしたから絶対に負けたくない」といった「仮想敵」がたくさんいる。でも実際はいないんですよ(笑)。スタートがネガティブなんですよね。もちろん幸せな日々を送っていますが、ついつい自分に欠けているところにフォーカスをあててしまうんです。

 欠けている自分と向き合う作業は、やはり落ち込みます。去年は映画を2本公開したのですが、映画評を見ては落ち込み、エゴサーチしては落ち込み、現場ではうまくいかなかったと落ち込み……。

 ただ私、回復が早いんです。傷つくことがあまり怖くない。落ち込んだところから回復していく道筋で得られるものがたくさんあると思うので。傷ついた分だけ、無理やりでもプラスにしていく訓練をしています。

私たちは、もっと違和感を大事にしたほうがいい

 ドラマの最終話で、女性たちに向けて放ったリミのスピーチには、いろいろな思いを込めました。特に、「怒りに身を任せて、傷ついても前に進む。やりたいことに手を伸ばす」というせりふ。

 女性って今の社会でたくさんの生きづらさを抱えていると思います。その違和感や怒りを見て見ぬふりすることも多いと思うのですが、ちゃんと意識することが大切だと思います。

 とはいえ、いちいち相手に立てついて、「これはおかしい」と主張するだけでは疲れてしまいますよね。何か発言すると「やっぱり女はすぐ愚痴る!」と言われてしまうこともありますし。生きづらさや違和感について話し足りないと感じている女性は多いのではないでしょうか。

 積極的に発言して主張しましょう、と言いたいのではなくて、違和感を認識した上で、自分たちの理想を持つことが重要なのかなと思うんです。そうすることで「カジュアルに話してもいいんだ」「みんなも同じようにおかしいと感じていたんだ」と、共感したり怒ったり、女性たちが気持ちを解放するきっかけになったらいいな。

取材・文/伊藤ハルカ 写真/洞澤 佐智子 ヘアメイク/早坂香須子(W) スタイリスト/斉藤くみ