「メディアで描かれる女性たちって、どうしてみんな結婚したくて、あすが不安で、悩んでいるの?たしかに大変なことも多いけれど、それ以上に女性って面白いし、大人って楽しいのに」。こう話すのは写真家で映画監督の蜷川実花さん。彼女が監督を務めるNetflixオリジナルシリーズ『FOLLOWERS』では、20代から50代のさまざまな人生観を持つ女性たちのパワフルな姿が描かれる。彼女がこの作品を通じて今を生きる女性たちに送りたかったメッセージを、前後編に分けてお届け! 前編は、選択肢が多いはずの現代社会で生きづらさを感じている女性たちへ。神髄をつく蜷川さんの金言は心を打つものばかりだ。

後編 蜷川実花エール「#過激に生きろ」もがき苦しむ若者へ 

蜷川実花(にながわ・みか)写真家、映画監督。木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。映画『さくらん』(2007)、『ヘルタースケルター』(2012)、『Diner ダイナー』(2019)、『人間失格 太宰治と3人の女たち』(2019)監督。映像作品も多く手がける。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事就任。Netflixオリジナルドラマ『FOLLOWERS』(フォロワーズ)は、全9話世界190カ国へ独占配信中。
蜷川実花(にながわ・みか)写真家、映画監督。木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。映画『さくらん』(2007)、『ヘルタースケルター』(2012)、『Diner ダイナー』(2019)、『人間失格 太宰治と3人の女たち』(2019)監督。映像作品も多く手がける。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事就任。Netflixオリジナルドラマ『FOLLOWERS』(フォロワーズ)は、全9話世界190カ国へ独占配信中。

結婚してもしなくても、子どもがいてもいなくても。選択は自由

 女性たちが見たあとに元気になるような作品を作りたいと思ったのが、このドラマの原点です。今の日本のドラマに出てくる女性って、わりと同じようなタイプが多い気がするんです。みんな結婚したくて、あすが不安で、悩んでいて……。もちろんそういった側面は私にもあるし、誰にでもあると思うのですが、そこにフォーカスされすぎるのも不自然かなと感じていて。大人って楽しいよね。女性って面白いよね。私たち幸せじゃない?ということをきちんと真ん中で伝えているドラマを作りたいと思いました。

 また、「多様性があっていい!」というのも、このドラマで伝えたかったことの一つ。ドラマの主役で人気写真家のリミ(中谷美紀)は、結婚せずにひとりで子どもを出産することを決意、はじめからシングルで育てることを意識します。

 視聴者の方にどう受け取られるかなと少し二の足を踏みましたが、やっぱりいろいろな生き方があっていいということを描きたくて。結婚してもいいししなくてもいい、子どもがいてもいいしいなくてもいい、シングルマザーでもいい。いろいろな可能性や選択肢があって、多様であることを一番表現してくれたのがリミですね。

私だってもがくし、悔しいし、乗り越えたくて必死

 リミは私と同じ写真家ですが、リミ=私ではなく、彼女にはこうありたいという私の理想をたくさん投影しています。最も憧れるのは、ブレないところ。自分の信念にそって強くしなやかに進んでいく姿は美しいなと思います。

 自分のことになるとよく分からないのですが、どうやら私はすごく成功していて悩みもないように見えるらしいんですね。でも全然そんなことはなくて。いつももがいて悔しい思いをして、それをどうやって乗り越えていくか、毎日必死になって考えている。そういったところも描けたらと思っていたので、ドラマの後半では、わりとリミもブレたりしんどい思いをしたりする姿を見せていきます。

 当たり前ですが、成功している人たちにも同じように悩みがあるし、大きな勝負をすればするほどハードな思いってついてまわるので、それがきちんと伝えられたらいいなと思いながら撮っていました。