自分でアクセル踏んで良かった

―― 『ブルーアワーにぶっ飛ばす』というタイトルはどのような思いでつけたのでしょうか?

箱田 ブルーアワーとは、一日の始まりと終わりに訪れる一瞬の青い時間のことなんですが、人生において刹那的に過ぎ去る、未熟で曖昧な時期を描きたかった。ただ、ブルーアワーという言葉が持つ切なさだけでなく、この映画にはスカッとしたエンディングが待っているので、それを「ぶっ飛ばす」という言葉に込めました。

「映画という未知の世界に踏み出すか、迷っていたこともあります」
「映画という未知の世界に踏み出すか、迷っていたこともあります」

―― 「ぶっ飛ばせ」ではなく「ぶっ飛ばす」なんですね。

箱田 「ぶっ飛ばせ」だと誰かに促すような意味になりますが、今作は「私はこうしたい」という、より主観的な話なので、「ぶっ飛ばす」にしました。脚本を書き始めたときの自分を思い出すと、映画という未知の世界に踏み出すかどうか迷っていたけど、自分でアクセルを踏んで突き進んでみて本当によかった。そういった意味もこのタイトルに込めています。

夏帆 私も、多少困難なことであっても、面白いことを常に選択していきたい思いはあります。割と保守的なタイプだと自分では思うんですけど、周りからは「結構危険なところに行くよね」と。今回演じた砂田の不器用なところや、気持ちが他人にだだ漏れなところは、すごく自分に通じていると思います。「全然うまくできてないよ!」って突っ込みたくなるような(笑)。

―― 砂田のように「理想の自分」になれず、葛藤したことはありますか?

夏帆 だいたいいつもそんな感じです(笑)。完璧主義な面があるので「こうありたい」と思いながらも、本当の自分は不器用で理想通りにいかないという。あと、波もありますよね。「私、今すごいポジティブ! 何でもできる!」というときもあれば、「あれ、だめだ……。消え去りたい」みたいなときも(笑)。だから、1回折り合いをつけたから、それでOKということはないはず。人生って波があるから、浮き沈みしながらやっていくんだろうなって思いますね。