全米ベストセラー『サードドア 精神的資産のふやし方』発刊を記念し、著者のアレックス・バナヤン氏が来日しました。同書は、バナヤン氏が米国各界の著名人25人に突撃インタビューを試み、成功したり失敗したりを経て成長を遂げていく7年間をまとめた、ノンフィクション冒険物語です。インタビューをまとめることを「ミッション」と位置づけたバナヤン氏は大学をやめ、集中してそのミッションに取りかかりますが……。

アレックス・バナヤン氏。米カリフォルニア州ロサンゼルス出身の27歳。フォーブス誌「30歳未満の最も優れた30人」、ビジネス・インサイダー誌「30歳未満の最もパワフルな人物」に選出、紹介された。アップル、グーグル、ナイキ、IBMなど著名企業で講演を行う。初めての著書『The Third Door: The Wild Quest to Uncover How the World's Most Successful People Launched Their Careers』は全米ベストセラーとなり、18カ国、14言語に翻訳される。邦訳『サードドア 精神的資産のふやし方』(東洋経済新報社)は2019年8月末に刊行され、11万部の売り上げを突破
バナヤン氏は著名人にインタビューしようと依頼メールを繰り返し送ったり、直接話す機会を得ようと、イベント会場に潜り込んだりする。だが、ほとんどの人たちから依頼を断られ意気消沈。意中の人と会うチャンスが訪れても、萎縮してしまう。大きな不安にも襲われる。

――今の若い人を見ていると、大きな不安に覆われているように思います。

 どの年代であっても人は不安なのです。若い人は、自分の人生で何を成し遂げられるか分からず、不安になる。親世代は、子どもが危なっかしい人生を進むのではないかと不安になる。多くの人が夢に目をつぶり、うまくいかないのは、目の前に横たわる障害のせいだと思う。実は違う。夢の実現を妨げているのは、不安だからなんです。

 エリオット(・ビズノー氏。バナヤン氏が成功者の調査を進める中知り合い、メンターになる)は不安を感じないために「素早く行動する」を信条としていますが、エリオットも認めている通り、それは短期的な解決法にすぎません。では長期的にはどうすればいいのか?

 私はある本を読んで、不安に対する態度が変わりました。ぺマ・チョドロン(米国人の尼。主に北米で教えを広めている)の『When Things Fall Apart』(未邦訳)です。不安は人間であれば自然に経験することの一部である。受け入れることなんです

 不安はなくせないし、不安と戦っても勝てないんですよ。だから不安を敵として見るのではなく、友達のように「ここに座って一緒にお茶でも飲みましょう」と扱えば、不安は静まります。不安が静まれば、やりたいことに集中して取り掛かれる

 8月半ば、カリフォルニア州で開催されたイベントで、約3000人の若者たちを前に講演してきたばかりです。聴衆の一人の男性が、私の講演を聴いてInstagramでメッセージをくれました。毎週、不安をランチに招待することにした、というんです。自分の不安と向き合う時間をつくり「友達」になって、自分が支配されないようにという趣旨だそうです。うれしかったですね。

 不安の存在を知るのは悪くない。年代に関係なく、私が読者に伝えたかったのは、「何かをする一歩を踏み出すのは怖いが、可能である」ということです。