「自己肯定」を意識せず、空気も読まなくてよし

 自分に自信がなく、自己肯定感が低いと思っている人も多いのでは。「自己肯定感の高め方」にまつわる書籍が数多く出版され、インターネット検索をすれば「自分を褒めましょう」「ポジティブ思考になるには」といった記事がずらりと並ぶ。実際のところ、一体どれが正解なのか分からなくなってしまう。

 「自己肯定するために、自分で自分を褒めたりしなくていいの。そもそも自己肯定というのは、『自分で自分を認める、なんて考えていない』、無関心な状態のこと。逆に『自分を肯定しなければ』と考えているのは、『自己肯定できていない』に等しいんです。

 では、何をしたらいいか。それは『自分を主体』にしてあげること。『自分は今、何が食べたいか』『自分はAよりBが好きだ』。そんな単純なものでいいの。他人に迷惑をかけなければ、自分の好きなようにしたらいいのよ。

 『こんなことを言って嫌われたらどうしよう』なんて、第三者の視点を想定して考えなくていいんです。人はそれであなたを嫌わないし、そもそも他人はあなたにそれほど興味がないわ(笑)」

 しかし、「場の空気を読む」ことが、あたかも必須スキルだと言わんばかりな現在の日本社会で、それはなかなか難しいのでは……と思ってしまうのだが、Tomyさんは「空気なんて、読まなくていいのよ」ときっぱり。

 「『空気を読め』というのは、『言いたいことを言うな』『主張するな』と言っているのと同じ。自分の思いを言わないと議論にならないし、問題点も見つからない。それによって『場がしらけたりしたら、どうしよう』なんて考えなくてもいいの。そもそも場って何かしら?

 場や空気を読め、と言う人はずるいと思うわ。場や空気は『人』じゃない。自分が本音を言えないから、場や空気のせいにしているだけ。『皆そう言っています』も同じね。空気なんて、読まなくていいのよ

 ★後編「大切なのは『自分がどうしたいか、よ』 精神科医Tomy」に続く

『精神科医Tomyが教える1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』『精神科医Tomyが教える1秒で悩みが吹き飛ぶ言葉』(ともにダイヤモンド社)。Tomyさんの強く優しい言葉に癒やされます
『精神科医Tomyが教える1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』『精神科医Tomyが教える1秒で悩みが吹き飛ぶ言葉』(ともにダイヤモンド社)。Tomyさんの強く優しい言葉に癒やされます

取材・文・写真/尾崎悠子(日経doors編集部) Tomyさんイラスト/カツヤマケイコ 書籍写真/スタジオキャスパー