自分らしくいるために譲れない「マイルール」は?

 自分らしく働くために、自分らしくキャリアを形成していくためには、ぶれない自分軸が必要かもしれません。お二人は、どんな「マイルール」を決めているのでしょうか。

鎌田 何かを選ぶときに「自分にとって自然かどうか」は常に考えています。言い換えれば、「不自然なことはやらない」。

龍崎 自分らしさ、つまり自分の「強み」を生かすために、「弱み」を補うメンバーを集めいいチームを作ることが大切だと思っています。自分にとっては苦手なことでも、世の中にはそれが得意な人もいるので。

 また、社会に対して「自分をよく見せ過ぎてしまう」ような「誤った自己イメージ」を伝えてしまうような仕事は、あまりしないように気を付けています。

鎌田 すごく分かります。いつの間にか、「キラキラとした成功イメージ」が強くなり過ぎることってありますよね。

龍崎 「社会には人の数だけキャリアがある」と思っている私がサクセスストーリーを語り、ロールモデルになり、それを他の方たちがお手本にする……という状況は、「自分の価値観とは違うもの」になってしまう。

「世界観や価値観で緩くつながって、共創していきたい」(龍崎さん)
「世界観や価値観で緩くつながって、共創していきたい」(龍崎さん)

 もちろん、私は特定の何かを批判をしたいわけではありません。ただ、私が自分らしくいるためには、「社会からの期待」と「自分にできること」の擦り合わせをきちんとする必要があるなと思っています。

鎌田 ロールモデルに憧れることは、実はその「人」ではなく、「その人が持っている世界観や価値観」に共感している。だから憧れ先を特定の誰かから少しずらし、共感している世界観や価値観そのものを共有できる場をつくることって、すごく大事だと思います。

これまでに一番「影響を受けた人物」は?

 学生起業家として活躍するお二人。きっとロールモデルがいるに違いない――と思い、誰に影響を受けたのかを聞いてみました。なんとお二人とも答えは同じ!

鎌田龍崎 両親です!

龍崎 私は「自分の意思で選択する」ことを奨励する家庭で育ちました。「自立心を養うような教育をする」がポリシーの母は、2・3歳の頃からお祭りで当たったおもちゃを選ぶときでも、絶対に私に選ばせるようにしていたそうです。

鎌田 私の両親も同じなので驚きました。例えば、私は小学生の時にピアノを習っていたのですが、自分から習いたいと言ったくせに、数年たつと明らかに飽きていたそう。「辞める?」と両親が言うのは簡単ですが、子どもの決断を親が奪わないよう「辞めたい」と自分で決めて言い出すまでずっと待っていてくれました。

「本気で探らないと、自分の世界観や価値観は出てこない。それをきちんと社会に実装し、一緒につくっていける人が増えていってほしいですね」(鎌田さん)
「本気で探らないと、自分の世界観や価値観は出てこない。それをきちんと社会に実装し、一緒につくっていける人が増えていってほしいですね」(鎌田さん)

龍崎 この「選択」って、価値観の形成にも影響しますよね。私は「自分のアイデンティティーは選択を通してしか見いだせない」と思っているので、世の中にはたくさんの選択肢があってほしいし、その中から選択を積み重ねて、「なぜ自分がそれを選んだのか」を掘り下げることが大切だと思います。

鎌田 確かに。選択を誰かに委ねていたら、人生のハンドルを自分で握れていない状態になる。反対に「自分で選択する」という体験を積み重ねれば、それが自信にもつながりますよね。