「今の時代、働き方の選択肢は多様にあります」――そう言われるほど、何が正解か分からない! 甘っちょろい「女子力」なんかじゃ未来の扉は開かない。じゃあ、どんな武器が、アイデアが、私たちには必要なんだろう。一緒に考えましょう。

「キラキラしてるね」なんて言われたいわけじゃない。本当の強さを身に付けて、誰かの役に立てる仕事がしたい。そんなdoors世代のヒントになりそうなキャリアを持つ3人に、とことん語り合ってもらいました! 会社員と企業経営を兼業する正能茉優さん、産婦人科医でプロボクサーの高橋怜奈さん、企業の受付業務に11年携わった経験から、起業という異色の選択に踏み切った橋本真里子さん。自分らしい働き方、どうやって見つけたの?

さまざまなワークスタイルの3人が集合!
さまざまなワークスタイルの3人が集合!

1時間当たりの自分の価値を最大化

――今の仕事や働き方に至った経緯、きっかけは?

正能 私は大手メーカーの正社員として仕事をしながら、地方の商材を女性・若者目線でプロデュースする「ハピキラFACTORY」という会社の社長としても働いています。ハピキラを起業したのは、大学生の時。長野県小布施町の「まちづくりインターン」に参加したことがきっかけでした。

 この時まで、私は「いい大学やいい会社に入って、いい家に暮らすのが人生の成功」というような価値観を持っていました。でも、小布施に暮らす人たちは、町での日々の生活を大切にすることで幸せに生きていたんです。この価値観の違いは、私にとって「豊かさの定義」が揺らぐ体験でした。物質的な豊かさではなく、精神的な豊かさを求めてみたい。そこから地方の可能性に注目するようになりました。

 経営を続けながら、企業の社員としても働くという兼業の道を選んだのは、「オンリーワンの存在」になりたかったから。私、家族や友人との時間も大切にしたいから、人よりも長時間働きたいとは思わない。だけど、カフェで紅茶を飲む時は少しだけぜいたくしてロイヤルミルクティーを飲みたいタイプだから(笑)、人よりもちょっとお金がかかる人生なんです。だとすれば、1時間当たりの自分の価値を最大化できる「オンリーワン」の立ち位置を探してみようと考えました。

高橋 私は産婦人科医として働きながら、2016年にプロボクサーになり、今までに3回試合に出場しています。ボクシングを始めたのは、元世界王者・内山高志さんの試合を見て感動したのがきっかけです。

 最初はフィットネス目的でスタートし、続けているうちに、「同じ時間を使うのであれば、より高い目標を持ちたい」と思うようになったんです。まずはプロテスト、受かったら試合……、と一つひとつ目標を設定して達成していったら、いつの間にかプロボクサーになっていました。

正能 パ、パンチとかされて痛くないんですか?!

高橋 痛いです、普通に(笑)。しかも、私はもともと怖がりで。でも、続けたことで性格まで変わってきたんですよ。変わるのに年齢は関係ないんだなって思いました。

橋本 私は2016年にディライテッドという会社を起業し、iPadを使ったクラウド受付システム「レセプショニスト」の開発と提供を行っています。それまでは、さまざまな企業の受付業務を11年間続けていました。

 一般的に受付業務は、結婚したら辞めてしまうなど「選手生命」が短いんです。でも私は、30歳を迎える頃にキャリアを生かした「ステップアップ」ができないかを考えました。実は日々の業務の中で、内線電話で逐一、担当者を呼び出すという工程が効率的ではないなと感じていて。テクノロジーを使ってそのシステムを変えるアイデアを思い付いて、自然と胸の中に浮かんできたのが起業という選択でした。

「起業は、自然と浮かんできた選択肢でした」(橋本さん)
「起業は、自然と浮かんできた選択肢でした」(橋本さん)