仕事と家事・育児の両立に対して不安はなくなる?

 31年前に比べると、制度の面では産後復帰しやすくなったように思えます。しかし、日経doorsが実施したアンケート(※)の結果では、doors世代の多くが、仕事と家事・育児の両立に対して不安を抱えていました。

 「残業が多い職場なので、時短が終わったら仕事を続けられない」「本当に復帰できるのか不安」「夫の協力を得られるか分からない」。このような声が尽きないのは「これまでの両立支援は、育休や時短などを女性にだけ施策してきたから」と白河さんは指摘します。

 「男性の長時間労働が当たり前になっているため、女性だけが育休や時短を取り、家事・育児の大部分を負担しながら仕事をこなさなければならなかった。男女両方が育児参加可能な働き方ができるようになって初めて、本当の両立支援といえるでしょう」

※2018年10月14日~12月31日の期間にアンケートを実施。107名が回答

今は過渡期! 企業の変化を見極めて

 2018年に成立した「働き方改革関連法」(2019年4月施行)により、大企業を中心に、長時間労働の是正やリモートワークの導入、男性の育休取得率アップなどの取り組みが始まっています。

 「例えば『味の素』では、テレワークの導入や会議の削減により、定時を16時半に繰り上げました。西井孝明社長に理由を聞くと『それなら保育園のお迎えのために退社する人も罪悪感を持たなくて済むでしょう』とおっしゃるんです。社員が『別の会社みたい』と驚くほど、大きな変化が起こっています」

 しかし一方で、相変わらず長時間労働を強いる企業も存在しているため、企業間の「働き方格差」が拡大しているといいます。

 「自分の会社が『普通』だと思わず、他の企業にも目を向けて情報収集しましょう」