未来のためにできることはこの3つ

【1】 今の仕事に「掛け算」できるスキルを身に付ける

 出産後の仕事復帰のために、個人的に取り組めることはあるのでしょうか? キャリアのために「個人の価値を高める」ことは大切ですが、単に資格を取るだけではあまり意味がありません。

 「趣味的なものは収入につなげるのが難しいので、今の仕事のスキルをアップさせたり、近い分野の知識を広げられるようなものがいいでしょう。専門性を高めることで、配偶者の転勤などで会社を離れても仕事を続けやすくなります」

【2】 家事・育児の分担は「自分の納得感」を大切に

 「家事育児に夫が協力してくれるか」不安に感じる女性は多いですが、夫婦の分担は割合の多寡ではなく、本人の納得感が重要だそう。

 「既婚女性に話を聞くと、夫に完璧な50%の家事・育児分担を求めている人はいません。中には、分担を諦めて、その分夫に生活費を多く入れてもらい、家事を外部委託することに決めた女性もいます。要は変化に合わせて、納得して暮らせるかどうかなんです」

【3】 「人とのつながり」を大切に、常に情報収集を!

 今後、企業間の「働き方格差」はさらに広がっていく、と言う白河さん。だからこそ情報の重要性が増しています。

 「女性は、自分の周囲の環境が『普通』だと思い込んでしまう傾向があります。それを防ぐために、人とのつながりを大切にしてください。学生時代の友人とSNSでつながっておく程度でOK。情報を得ることで、自分の環境の問題点に気付くことができます。勤務先に問題があるなら、結婚を機に働きやすい会社に転職するのも一つの手ですね」(白河さん)

長期的な視点でキャリアの地図を描いて

 平成の31年間で、働く女性の「普通」がアップデートされ続けてきたように、今後も選択肢は増えていくでしょう。

 でも「うちの会社では産後復帰は無理」「夫が激務だから……」と諦めないで。長期的な視点でキャリアの地図を眺めれば、少し脇道や回り道に入ったとしても、自分なりの道筋が見つけられるはずです。

白河桃子
少子化ジャーナリスト 相模女子大学客員教授
白河桃子 慶応義塾大学卒業。2008年中央大学教授山田昌弘氏と『婚活時代』を上梓、婚活ブームの火付け役に。政府の「働き方改革実現会議」の有識者議員も務め、年間100回の「働き方改革講演」をする。近刊「御社の働き方改革、ここが間違ってます!」(PHP新書)「逃げ恥にみる結婚の経済学」(毎日新聞出版)など。

文/都田ミツコ 写真/スタジオキャスパー(白河さん)、鈴木愛子(イメージ画像)