必要なのは「人間力」

 吉村さんが女優を志したのは、小学5年生の時。児童劇団に所属していた同級生が主役を務める姿を見て、衝撃を受けたといいます。そこから自分も児童劇団やガールズグランプリのオーディションを受け、大学に入ってから本格的に芸能活動を開始します。

 今でこそ積極的に活動している吉村さんですが、以前は自分の殻に閉じこもっていた時期がありました。

 「中学・高校は女子高で、のんびり楽しく過ごしていたのですが、美大に入学したら個性的な人たちばかりで。何をするにも周囲の様子をうかがっていたら、同級生の一人に『優花ちゃんって、つまんないね』とズバッと指摘されたんです。悔しかったし、ショックだった。でもその子は元気で、人懐っこくて、周囲を巻き込む人間力があって、私が憧れる人物像そのもの。そこから自分も変わろうと決意しました」

ムービー出演時とは印象の違う、パッツン前髪。「自分でも気に入っています」
ムービー出演時とは印象の違う、パッツン前髪。「自分でも気に入っています」

 地道にオーディションを受け、役に選ばれれば次の扉が開く。しかしその扉を開けるには、「人間力を高めることが必要」と語る吉村さん。

 「もちろん演技力も必要ですが、それ以上に深い人間力を身に付けたいと思っています。女優として魅力的である前に、一人の人間として魅力的でありたい。ちょっと生意気な言い方になってしまうかもしれませんが、特に目標とする方や憧れの女優さんはいないんです。それよりも私は私でいたい。いずれは『吉村優花って面白いね』と言われるぐらい、存在感を発揮するような人間力あふれる女優になりたいです」

人間力を身に付けるために

 「今はやりたいことがたくさんあって、時間帯を問わず常に何かを吸収している状態」と語る吉村さんの活動は旺盛。毎週の演技レッスンに加え、動画配信サービスを利用して1日1本は国内外の映画を観賞し、見た作品と感想、印象に残ったセリフをメモしているんだそう。最近「心が震えた」作品は、韓国映画の『悪魔は誰だ』。

 芸能界の友人と買い物に出掛けてファッションコーディネートをし合ったり、写真を撮り合って表情の研究をしたり。お互いに指摘し合うことで「表現の幅が広がった」と実感しているのだとか。

1日1本は映画を見るため、「スマホは画面の大きいタイプを使っています」
1日1本は映画を見るため、「スマホは画面の大きいタイプを使っています」

 「女優の仕事は現場に行って、初対面の人とお芝居をすることもあるけれど、いい作品を創るには自分の持てる力の100%、120%を出し切って、相手の方に信頼してもらわないといけません。その時に肝となるのは、やっぱり人間力だと感じています」