性別は何でもいい…「出身地」と同じ感覚

―― 結婚自体にこだわりがあったわけではなく、一緒にいるためには結婚がベストという選択だったんですね。

津島 はい。実は私はパンセクシュアル(編集部注:全性愛。性別を問わず、すべての人を恋愛対象とするセクシュアリティ)で、必ずしも付き合っている人と結婚できるとは限らなかったので、もともと結婚願望が強かったわけではありません。わふこと結婚という形をとったのは、一緒に暮らす場合、結婚したほうが生活面で便利だと思ったからですね。

―― ご自身がパンセクシュアルだと自覚したのは、いつごろですか?

津島 中学生のときです。女性を好きになったので、当時は「レズビアンなのかな?」とも思ったのですが、男性も恋愛対象だったので、「性別自体は何でもいいな」と思いました。いうなれば、私にとって性別は「出身地」と同じ感覚です。

 例えば、人を好きになるときに、「大阪出身だから好き」「東京出身だから付き合えない」とは考えませんよね? それと同じで、私にとって性別は、相手を形成する要素ではあるけれど、それで好きになったり、付き合えないと感じたりするようなものではないんです。

『夫は実は女性でした 』より (C)津島つしま/講談社
『夫は実は女性でした 』より (C)津島つしま/講談社

―― 結婚生活を送る中で、わふこさんに対して「もしかしたら女性なのかな」と感じることはありましたか?

津島 よく周囲から「おしとやか」と言われていて、私もそう感じることはあったので、時々「性別はどちらなのだろう?」と思うことはありました。また、わふこのクローゼットに女性用の服があることに気づいて、「女装が趣味なの?」と聞いてみたら、「女装ではないかな……」という答えが返ってきたことがあったので、何となく察知はしていましたね。

 ただ、私自身が性別へのこだわりが薄かったので、正直、どちらでもよかったんです。無理に聞くことでもないと思っていたので、突っ込んで聞いたことはありませんでした。


 そして結婚8年目に、わふこさんからトランスジェンダー(編集部注:出生時に割り当てられた性と異なる性を自認している人)であることを告げられた津島さん。下編では、わふこさんから「実は女性なんです」と告白されたときの心境や、結婚生活を続ける選択をした理由、カミングアウト後の生活について聞きました。

取材・文/三浦香代子 漫画/津島つしま

津島つしま
結婚8年目のある日、夫から「本当は女性なんです」と告げられ、パートナーがトランスジェンダーであることを知る。この体験をつづった漫画をSNSに投稿したところ反響を呼び、エッセー漫画『夫は実は女性でした』(講談社)を出版。現在も「婦婦」(ふうふ)として2人で暮らしている。Twitter