カミングアウトしたいのにできない状況は、変えたい

―― 七崎さんの場合は、思いがけないカミングアウトで状況が好転したんですね。

七崎 そうですね。ただ、カミングアウトをしたいかどうかは人によって異なります。100人いれば、100通りの考え方と気持ちがある。カミングアウトをしない生き方を否定するつもりはないですし、自分で決めて幸せに暮らしているなら、それが一番だと思います。

 私がつらいのは、「カミングアウトしたいのにできない」状況に置かれている人たちがいることです。周囲の環境によって、カミングアウトしたいのにできない状況に追い込まれているなら、それは社会の問題だと思います。

 私がLGBTの支援団体である「LGBTコミュニティ江戸川」を立ち上げたり、山梨でもLGBTに対する理解を深める活動を行ったりしているのは、他の人に自分と同じ思いをさせたくないからです。山梨には今のところパートナーシップ制度を導入している自治体がなく、それを受けて市民団体が立ち上がったので、相談役として山梨でも支援活動を行っています。

 とても悲しいことですが、自分が小学生のときに言われていたように、今でも「オカマ」と言われて苦しんでいる子どもはいます。手紙などでそうした話を聞くことがあるのですが、私が学生だった頃と同じ状況が続いているのは、子どもではなく大人の責任だと思います。今もまだ、昔の自分と同じように傷つき、悩んでいる子がいる。それが嫌なので、変えられるものは変えていきたいと思っています。

―― 私たちが友人からカミングアウトをされたときには、どういう言葉をかけるといいのでしょうか?

「LGBTに対する理解を深める活動を行っているのは、他の人に自分と同じ思いをさせたくないからです」
「LGBTに対する理解を深める活動を行っているのは、他の人に自分と同じ思いをさせたくないからです」