友人にカミングアウトされたときには?

七崎 人によって、性格も考え方も感じ方も違うし、関係性もそれぞれ違うはず。だから、「この言葉をかければ正解」というのはないですよね……。難しい問題です。ただ、できれば否定はしないでほしいと思います。

 私が周囲にカミングアウトをしたときには、「男の人に逃げちゃダメだよ」「女の人を好きになる努力をしたほうがいい」と言う人もいました。私のことを思って言ってくれているのだと理解はできても、努力の問題ではないので、否定されているように感じてしまうんですよね。

 例えば、友人に悩み事を相談されたときには、その人の性格やこれまでの関係性などを踏まえて、状況に応じた言葉をかけますよね。それと同じで、同性愛者であれ異性愛者であれ、お互いに一人の人間として向き合って、否定せずにいてくれるといいのかな、と思います。


 下編では、母親へのカミングアウトや、区役所への婚姻届の提出、築地本願寺での挙式などについて聞きました。

2016年10月に、築地本願寺でパートナーの亮介さん(写真左)と結婚式を挙げた七崎さん(写真右)。写真は結婚式当日の様子 撮影/前田賢吾(L-CLIP)
2016年10月に、築地本願寺でパートナーの亮介さん(写真左)と結婚式を挙げた七崎さん(写真右)。写真は結婚式当日の様子 撮影/前田賢吾(L-CLIP)
下編「七崎良輔 『ゲイとして家庭を築き最強に幸せに生きる』」では、次のストーリーを展開

■母親へのカミングアウト
■受け入れてくれるまでには7年かかった
■母親の心境が変化した理由は?
■不受理を承知の上で婚姻届を提出、その真意は?
■築地本願寺で挙式も、結婚生活は今年で6年に

取材・文/青野梢(日経xwoman doors) Zoom取材写真/鈴木愛子、結婚式写真/前田賢吾(L-CLIP)

七崎良輔
ななさきりょうすけ
1987年、北海道生まれ。高校卒業後に上京。2015年、パートナーシップ契約公正証書を結んだ夫と共に、「LGBTコミュニティ江戸川」を立ち上げ。2016年4月、LGBTのためのウエディングプランニング会社「Juerias LGBT Wedding」を設立。2016年10月、築地本願寺で同性結婚式を挙げ話題に。2019年4月には、東京・江戸川区に「同性パートナーシップ証明制度」が導入され、その第1号となる。現在は、東京と山梨の二拠点でLGBTの理解促進や支援活動を行っている。著書に『僕が夫に出会うまで』(文藝春秋)がある。Twitter