勉強はいい、女も男も平等だから。社会にはまだまだいろんな障壁があるけれど、試験はとてもシンプル。正解か不正解か、ただそれだけ。試験を前にしたら、性別なんて関係ない——はずだった。

 2018年8月、東京医科大学が入試において女子の得点を一律減点していたことが判明したのは報道の通り。その後の厚生労働省の調べで、全国計10大学の医学部が不適切な得点調整を行っていたという事実が明らかになりました。男女平等だと思われた入学試験という場面も、フタを開けてみると全然平等でなかったとは。

 さらに驚くべきは、減点を行った各大学の言い分です。順天堂大学では、面接の得点において「女子が男子よりも精神的な成熟が早く、受験時はコミュニケーション能力も高い傾向にあるが、入学後はその差が解消されるため、補正を行う必要がある」との説明がなされました。入学後にはその差が解消される……? 思わずツッコミたくなる謎の発言です。

 そこで立ち上がったのが「医学部入試における女性差別対策弁護団」。この団体の設立目的は、大学側への成績開示や受験料の返還請求などの、不当な差別の撤廃です。

 2019年1月末日、同団体主催のもと、今回明るみに出た「女性差別」をどう解決していけばいいのか、一人ひとりの思いをどう次につなげていけばいいのかを考えるイベントが開かれました。パネリストは、エッセイストとして活躍する小島慶子さん、女性の性について精力的に発信する医師の宋美玄(そん・みひょん)さん、ジェンダー論を専門とする東京大学大学院教授の瀬地山角(せちやま・かく)さん。モデレーターは、同団体に所属する弁護士の佐藤倫子さんが務めました。本記事では、そのイベントの内容をお届けします。