20代・30代にとってお金の常識は激変。将来の不確定要素も多いだけに不安なこともありますよね。doors世代へのお金のアンケート結果をベースに、使う・貯める・増やすに関する疑問や不安を追究します!

お金の不安を吹き飛ばせ! doors世代の疑問に答えます

「日経doors」が行ったアンケートでは、働く20~30代女性の75%が「老後のお金に不安を感じる」と回答。しかし、「萩大島船団丸」代表を務める坪内知佳さんは、「将来のお金の心配をするよりも今を生き抜いて」と力説する。坪内さんの、キャリアストーリーとお金、人生の価値観を聞いた。

1986年生まれの坪内知佳さん。山口県萩市の日本海沖に位置する大島(萩大島)にて、地元の漁師たちと共に漁業の新しいビジネスモデル構築に尽力してきた

「生きているだけで幸せ」そのことに気付いて

 「みんな、『お金やモノが足りない、足りない』って言うけど、雨風をしのげる家があって、今の日本には戦争もなくて、温かいご飯も食べられて。『あなた、幸せじゃない』って思うんですよね」

 そう語るのは、萩大島船団丸代表、GHIBLI(ギブリ)代表取締役の坪内知佳さん。「老後や将来への不安を抱える人は、自分のやりたいこと、知りたいこと、つまり自分の『モノサシ』を見つけてほしい。そうすれば、不安は自然となくなるはず」と話す。

 「変な話ですが、私は、自分が死んだ後に、『知佳ちゃんが亡くなって惜しいよね』と、一人でも多くの人に思ってもらいたい。自分がどんな人生を歩みたいか、どんな最期を迎えたいかを考えることって、実はとても大切だと思います」

 自分は何をなりわいとして稼いでいくのか。どこに向かって生きていきたいのか。将来、自分はどういう姿でありたいのか。そうした「人生のゴール」が決まらないと、「お金がいくら必要か」も分からない。人生の目標を見つけたら、漠然とした将来への不安はなくなるのではないか―-。坪内さんは、そう語る。

「若いうちから老後の心配をするより、自分の生きざまをどう描くかを考えるほうが大切だと思います」

 しかし、その言葉の背景には、「病気と闘った過去」があることを忘れてはならない。

19歳で「余命半年」の宣告 人生が豊かになる契機

 坪内さんが突然体調を崩し、医師から「余命半年」と宣告されたのは19歳の頃。

 幸い、当初診断された病気ではなく、坪内さんは回復した。「『余命半年です』と言われた時に、身をもって実感したんです。『このまま死にたくない』と。同時に、その時に心に浮かんだのはお金のことでもキャリアでも地位や名声でもなかった。自分が死んだときに、多くの人に感謝してもらえたらいいな、と素直に思ったのです。私は19歳の時にそのことに気付けたので、恵まれていた。病気があったからこそ、自分の人生は豊かになりました

 今は、本当に自分が心から楽しいと思える仕事や、周りの人がハッピーになることしかしていない。だから、毎日が楽しい。こんなふうに、この先も『楽しいよね、幸せだよね』と感謝して生きていけたらいいな

 余命を宣告されてから「自分の人生のゴール」に気付いた坪内さん。今は経営者として事業を拡大しながら、周囲を引っ張っていく存在となった。経営者としての出発点は、意外にも父の一言にあったという。