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20代のワタシに言いたかったこと

多部未華子・荻上直子 大事なコトは現場に転がっている

15歳から仕事を始めた多部さんと、27歳まで大学院に通っていた荻上さんが、お互いのキャリアを振り返って思うこと

朝ドラ撮影現場での大先輩の一言で目覚めた

多部 朝が早い。もっと寝ていたい(笑)。――でも、それくらい。ドラマの撮影だと本当に寝られなくて。一番つらかったのは、映画の撮影で1日の睡眠時間が1時間や2時間という生活が1カ月続いたとき。大学の卒論書きとも重なってしまい、大変でした。

―― 短時間しか眠れていない日でも、セリフはちゃんと覚えられるものなのですか?

多部 朝ドラで「台本地獄」を経験したときからセリフ覚えは早くなりました。朝ドラの撮影では、収録のたびに新しい台本を渡されるので。

 朝ドラをやらせていただいたのは19~20歳のときです。周りの友達が就活のエントリーシートを書き始めているのを横目で見ながら、「私も就活して会社員にならなくちゃ。でもどうしよう。今、朝ドラ撮っているし」と思っていました。会社に就職して、もう女優は辞めるという道を、当時はうっすら考えていたんです。

就活を始めた友達に触発されて「私も会社員になるんだろうな」とぼんやり考えていたという多部さん
就活を始めた友達に触発されて「私も会社員になるんだろうな」とぼんやり考えていたという多部さん

―― それは驚きですね。その後、何か変わるきっかけがあったのですね。

多部 朝ドラの撮影現場での出来事です。高畑淳子さんや金田明夫さんなど、劇団でのご経験が長い役者さんと10カ月間、撮影を共にしていて、とある日の撮影で、スタッフさんがNGを出してしまったんです。そのスタッフさんがすかさず「すみません!」と謝ると、金田さんが「いいんだよ、俺らは芝居が楽しくてやってんだから、もう1回演じられてラッキーなんだよ。な?」とおっしゃって。周りも「うん!」と。とてもすてきな一場面でした。

 そのとき、こんなに演技に真正面から取り組んでいる大先輩の皆さんに、自分がヒロインとして盛り立てていただいていることのありがたさに改めて気が付きました。それなのに「就活しなきゃ」なんて中途半端な気持ちでいるのは、本当に皆さんに失礼だ、と。この出来事が、「就職」という選択肢を消して、役者の道に進むことを決意したきっかけでした。あの日のことは今でも忘れられません……、ということを金田さんご本人にお伝えしたことはないのですが(笑)。どこかで改めて演技論について語り合うというわけでもなく、現場の何気ない会話で「あっ」と気づかされたのがとても印象的でした。

―― 掛け替えのないエピソードを教えていただき、ありがとうございます。荻上さんは27歳まで学生でいらしたんですよね。

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