セックスって何歳からOK? 答えのない質問に困るばかり

 このドラマに登場する高校生たちを見ていると、セックスの悩みはオトナだけのものではないと痛感します。実は、高校生だって悩んでいる。しかし、一般的には「セックス=オトナになってから」の暗黙の常識があるがゆえに、高校生向けのセックスに対する悩みを解決する人やツールが少ないのが現状です。

 家庭によってセックス解禁のルールは異なると思うのですが、高校生がセックスなんてとんでもない、大人の仲間入りは高校を卒業してからという家庭で育った私からすると、「高校生たちのセックス」が当然のものとしてストーリーが進む本作に少し驚きました。

 一方で、親の立場になった今、セックスをするなといってもするのがティーンエージャーなのだから、するなではなく、するならどうするべきか、正しい知識を伝えることが重要とも思っています。この考えを後押ししてくれるのがまさにこのドラマ。男性器の模型を使って、学生たちが実際にコンドームをつけてみる実践授業には度肝を抜かれましたが、いけないではない、正しくというメッセージがストーリーの端々で伝わってきます。

オーティスとメイヴの凸凹コンビ。正反対でありながら互いに良き理解者
オーティスとメイヴの凸凹コンビ。正反対でありながら互いに良き理解者

 主人公は、著名な作家でセックスセラピストである母をもつ、童貞の男子高生オーティス。セックスの経験はないけれど、母親の影響で知識だけは豊富なオーティスに、校内の生徒に向けてセックスセラピーを始めようと持ちかけるのが、見た目の派手さから学校でビッチと呼ばれ、セックスに特別な抵抗感のない女子高生メイヴです。彼女は、セックスに悩む友人たちを見て、このビジネスを思いつきます。

 蓋を開けてみると、セックスを気持ちいいと感じられなかったり、自分の性器が他の人とは違うと自信が持てなかったり、同性同士のセックスの正しいやり方がわからなかったり。ドラマの中では、誰にも言えない性の悩みを抱える高校生が多く登場していました。中でも特に印象的だったのは、「セックスは男性を喜ばせるもの」と勘違いし、不快なセックスを彼のために続けていた女性。自分も楽しんでいいのだと知ったときの「信じられない」という表情は忘れがたく、セックスがどういうものなのか、正しい情報がオンラインだと拾いきれず、それが巻き起こした悲劇としか私は思えませんでした。

 セックスはいつからOKなのか、ティーンエージャーたちはセックスにどう向き合うべきなのか。本当に難しいテーマですが、一方的にセックスを悪者にするのではなく、オープンにラフにもっと家庭や学校で話していいのではと、このドラマを見て思います。性教育が進む英国でさえ、まだ誤ったセックスの知識が出回る現状です。性教育が「セックスはだめ」と一方通行の日本なんて……今の高校生がどういう恋愛やセックスをしているのか、想像するだけで私は正直とても怖いです。