「おかしい」と思うことに声を上げよう

 コロナ禍で、自国だけでなく各国政府の対応が日々報道され、多くの人が以前よりもニュースに注目するようになったと思います。自分の暮らす社会に疑問を持ったり、「おかしい」と感じたりした人もいるのではないでしょうか。そしてコロナ禍で困窮しているのは、もちろん「特殊な人」などではなく、なじみのお店で働く人たちや友人たち、そして私たち自身でした。もちろん「普通の人」です。

 今まで選挙の投票には欠かさず行ってきた私ですが、このコロナ禍を経験する中でそれだけでは足りなかったのだと思い至りました。消費税をはじめとするさまざまな税金を納め、日本で暮らしている私たちは全員政治に疑問や不満があったら、もっと声を上げていいのだと思うようになりました。

 映画の中でピーターが命懸けで現実に起こっていることを撮影したように、報道は真実を伝えてほしいし、私たち自身も、目にする情報が真実なのかどうかを考えていきたい

 どんなに若くても関係ない。対案を必ず持っている必要もない。困ったときや理不尽を感じたときに、人々が声を上げ、改善されていく社会であってほしいと思うし、自分自身も他者が上げた声を自分事に考えられる人でありたい。そんな気持ちになる映画です。

『タクシー運転手~約束は海を越えて~』
Hulu、Amazonプライムビデオ、U-Nextなどで配信中

文/榎本志津子 イラスト/六角橋ミカ