ドリーム

 2本目は『ドリーム』。1960年代の冷戦下、旧ソ連と宇宙開発を競っていた米NASAによる「マーキュリー計画(有人宇宙飛行計画)」を支えた黒人の女性計算手たちの物語で、2018年にアカデミー賞を受賞しました。

「ドリーム」20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン (C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

 主人公の3人、キャサリン、ドロシー、メアリーは全員黒人で、それぞれがずば抜けた数学の才能を持ち、誇りを持って働いていますが、「黒人女性だから」という理由で非常に理不尽な待遇を受けます。アメリカでも、50年以上前にはこんな黒人差別があったんだなあ……と遠い国の昔の話のように思うかもしれません。

 しかし、「黒人には」こんな重責の仕事は任せられない、「黒人だから」そう簡単に昇進させられない、「黒人は」この会議に出席しなくていい――これらはみな、キャサリンたちが「黒人だから」受けた差別の一例でした。でも「黒人」を「女性」に変えてみると、21世紀の現代日本でも似たようなことが起きているのではないでしょうか。

「ドリーム」20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン (C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

 以前、私が会社勤めをしていてチームをまとめる立場だった時のことです。非常に優秀な女性を、責任ある立場に昇進させるかどうかという会議の中で、「あのくらいの年齢の女の人は、旦那さんの転勤や妊娠ですぐ辞めちゃうから(昇進させても無駄かも)」と男性上司が軽く言った言葉に、私はひどく憤り、彼女の能力を認めているなら昇進させるべきだ! と反発したのを思い出しました(その後、彼女は無事に昇進しました)。

 令和という新しい元号を迎えた今、これからは、その人自身が努力してもどうにもならないこと(生まれついての「性別」や「人種」、「国籍」、その他のあらゆるマイノリティであること)を理由に、不当な扱いを受けるようなことはあってはならないという考え方が当然の時代になればいいと思うし、私自身も常に意識をアップデートしていかないと! と気持ちを新たにしました。

 今回は、【学校では教えてくれない「差別」のこと】をテーマに作品を選んでみました。2本とも、重たくてお堅い内容というわけではなくて、笑いあり涙あり、胸がすくような展開ありのエンターテインメント作品なので、ぜひどうぞ!

文/榎本志津子 イラスト/六角橋ミカ