2021年6月24日より、シーズン2の配信がスタートしたNetflixオリジナルシリーズ『全裸監督 シーズン2』。1980年代からバブル崩壊期までの日本アダルトビデオ業界の裏側を、業界の風雲児・村西とおる氏の半生と共に描く話題のシリーズを女性たちはどう見るのか。 年間1500タイトル以上の海外ドラマを視聴する専門家が女性目線から見る本作の見どころを語ります。

※筆者注:性別を分ける「女優」「男優」の表現を本来使用したくないのですが、本作をより分かりやすく紹介するために、本作内で使用された「AV女優」のワードをそのまま使用します。

「男たちの物語」を女性はどう見るべきか

 本橋信宏著の『全裸監督 村西とおる伝』を原作に、当時、AV監督として活躍した村西とおる氏の半生をスキャンダラスに描く本シリーズ。シーズン1では、さえないサラリーマンだった村西がエロに目覚め、ビデオ制作チームやAV女優たちと当時禁止されていた本番行為を解禁するなどしてタブーに挑み、日本のアダルトビデオ業界に大きな変革をもたらすさまが描かれます。

 2019年8月に、シーズン1が配信されるや否や、日本中で大反響。配信開始からわずか1週間でシーズン2の制作が決定しました。シーズン2は、新型コロナウイルスの影響で当初の予定から1年遅れての配信となったものの、配信直後から数々のウェブメディアや雑誌で取り上げられるなど、さまざまな反響をよんでいます。

 「シーズン1」の裏テーマは「性の解放」でもあり、女性だってエロくていいし、SEXが好きでもいい。AV女優という職業を誇っていいとの描写があるのですが、それだけでなく、お金のために仕方なく出演する女優や、中にはだまされて、街でのスカウトから逃れられず出演に至った女性たちもいたと思うのです。けれど、そのブラックな一面や彼女らのドラマが「シーズン1」には描かれていない。

 2017年ごろから、米国で「Me too」運動が広がったり、日本でAV女優たちが出演を強要されていた事実が明らかになったりしました。本作の「シーズン1」が公開されたのが2019年。昭和末期のアダルトビデオ業界を描く上で、こういった事実もしっかり描いてほしかったなという違和感が残るのです。

 昭和の時代には、エロやAVは今となっては考えられぬタブーもきっと多かったはず。過剰に美化され、男たちの青春物語として突っ走っていくさまだけでなく、そんな彼らをどんな目で見ていたのか、女性目線からのストーリーも欲しかった。一方で、「シーズン2」はどうだったのか。