同性婚やマリフアナの合法化、トランプ政権など、海外ドラマには現代社会を反映させた刺激的な作品が多く存在しますが、「障害をもつ人々」にフィーチャーする作品は意外と少ないもの。今回は、「人と違うこと」をテーマに、「障害」というあまりにも難しい題材を、果敢にもコメディーと掛け合わせ話題を呼んだドラマと、SNSを中心に世論を動かしている衝撃的な冤罪(えんざい)ドラマをご紹介します。2つの対照的なドラマが伝えたいこととは?

『ユニークライフ』

「普通の人なんて誰もいない」に共感の嵐 自閉症コメディー

 芸能人やセレブが公言するなど、近年耳にする機会の増えた「発達障害」。実際にどんな病気なのか、知らない人も多いかもしれません。そんな中、発達障害の一つである「自閉症スペクトラム症候群」について、包み隠さず描ききった作品が今回紹介する『ユニークライフ』です。

 主人公のサムは「自閉症」を抱える18歳の高校生。ペンギンが大好きで、家族や友人の力を借りながら普通の高校に通い、放課後には電気店でアルバイトもしています。新しい環境が苦手だったり、突発的な出来事が起きるとパニックになったり、空気を読まずに突然、関係ない話をし始めたり。サムを通じて細かな「自閉症」の症状がユーモアたっぷりに描かれます。

 障害が原因で普通のことがうまくできないサムを見て、改めて「普通」って何なのかを考えました。普通とは、人と違うことはしないで、人に合わせること?この答えにはとても違和感を覚えます。

 作中で、こんな印象的なセリフがあります。「僕は普通じゃない」と落ち込むサムに対し、親友や、サムの妹の彼氏が言い放つ「普通な人なんて誰もいないよ」というセリフ。シンプルながら胸にぐっとくる言葉です。

 私自身、海外ドラマが好きすぎて、会社員という肩書を捨てて「海外ドラマコラムニスト」というなんとも自由な職業を選んだわけですが、全く迷いがなかったかと言うと嘘になります。「人と違う」道を選ぶことに対し、少なからず不安はありました。また、子育てにおいても、「ママが我慢しない」ことが重要だと考える私。まだ赤ちゃんの次女を引き連れて取材に出かけたり、娘を夫に任せ、2週間のアメリカ出張にいったりと「一般的」ではないことをしていますが、たまに周りからどう思われているのか気になったり。

 しかし、歳と経験を重ねて、「人と違う」部分こそ私の最大の長所だと思えるようになりました。働き方も子育ての方法も人それぞれ違っていい。人と違うことをするのって怖いけれど、「普通の人」なんてどこにもいないとすれば、みんなもっと好き勝手やっていい!

 ドラマの原題「ATYPICAL」は「典型的ではない」という意味なのですが、これはサムのことを指すのではなく、サムを通じて私たちみんながそうだよと言いたいのではないかと思います。

 障害の有無関係なく、「普通じゃないことこそ普通」なんだと気づかせてくれるからこそ、このドラマを見ると安らぐのかもしれません。周りに合わせすぎて疲れているdoors世代にこそ見てほしい一作です。

『ユニークライフ』
Netflixオリジナルシリーズ。シーズン1~2を独占配信中。