フィジーで英語学校の校長を務める筆者は「日本・フィジー・デンマーク」の世界3拠点生活(トリプルライフ)を実践しています。現在は新型コロナウイルスの影響により、フィジーにとどまっています。今回は私が提唱する「メモリー資本主義」の話をしたいと思います。資本主義社会に生きている私たちですが、資本とは一体何なのでしょうか? フィジーの人々の暮らしをヒントに私なりの考えをお話ししたいと思います。

記憶を売るとしたらいくらで売りますか

 突然ですが、あなたの人生でいちばん大切な「記憶」ってどれですか? 結婚式、出産、受験の合格発表、学生時代の恋愛、卒業旅行など、いろいろとあると思います。あなたにとっての最高級の記憶、思い浮かびましたか?

 では、その記憶に値付けするとしたらどうでしょう? いくらでその記憶を売却しますか? 売ってしまえば記憶から消去されます。そんなこと、現実にはありえませんがあえて質問させていただきます。

 「プライスレスに決まってるやろ!!」と怒られてしまいそうですね……。いろいろな方にこの質問をしてみましたが、多くの方の答えを大ざっぱに一言でまとめると、

 「1億円を積まれても売りたくない」です。

 みなさんの場合はいかがでしょうか。普段は意識をすることなんてあまりありませんが、私たちは「思い出」というものにとんでもない価値を感じているようです。 「1億円の資産」は持っていませんが、「1億円をもらっても売りたくない記憶」はあるのです。

フィジーではビーチで乗馬を教えてもらえる。おちゃらけて馬の上に立つフィジー人
フィジーではビーチで乗馬を教えてもらえる。おちゃらけて馬の上に立つフィジー人