大金持ちでなくても実現可能に

 最近は日本でも、デュアルライフや固定の住居を持たずに拠点を移動して暮らす「アドレスホッパー」などが静かなブームになっています。その多くは「単身者」だったり、国内の「都会と田舎」の2拠点生活だったりします。

 「家族4人」で海外2拠点(北半球と南半球/先進国と発展途上国)を含めた3拠点生活を送っている人は、まだほとんどいないのではないでしょうか。

 読者の皆さんは、1960年代から80年代にかけてテレビ業界で一世を風靡した大橋巨泉さんをご存じでしょうか? 「平成」の時代、テレビの世界からセミリタイアした巨泉さんは「ひまわり生活」をして過ごしていました。

 日本が寒い「冬」の時期はオーストラリア、日本が暑い「夏」の時期はカナダ、日本が気候的に心地よい「春・秋」は日本で過ごす。快適な太陽を求めての移動生活(多拠点生活)です。当時は、本当に一握りの超大金持ちしか選択できなかったライフスタイルでした。

 しかし、「令和」という新時代に入り、リモートワークが一般化。LCC(格安航空会社)やAirbnb(エアビーアンドビー、民泊情報サイト)、HafH(ハフ、定額で世界中住み放題の定額制住居サービス)などの社会インフラも整備され、コストを抑えながら世界中で暮らすことが可能になってきています

 そんな多拠点生活のリアルについて読者の皆様と共有させてもらいながら、衣食住の「住」について、一緒に新常識をつくっていけたらと考えています。しばしの間お付き合いのほど、よろしくお願いします。

文・写真/永崎裕麻