デンマークを拠点に選んだ理由

 時はたち、2019年。

 フィジー移住時は独身だったため、「私」だけの判断で決めることができましたが、フィジーで出会った日本人の妻と、その後に生まれた子ども二人が加わって家族4人となり、「私たち」にとって最適解は何かという視点で日本、フィジーに次ぐ3つ目の拠点を選択する必要がありました

 私たち家族がアップデートしたいと思っていることで、他の2つの拠点である「フィジー」や「日本」では学びにくいものは何か。そんな家族会議を妻と繰り返して、「デンマーク」にたどり着きました。以下の3つが学べる場所だったからです。

1.「幸せ」を学ぶ

デンマークは、言わずと知れた「幸福先進国」です。国連が毎年3月の国際幸福デーに発表している「世界幸福度ランキング」2020年版で、デンマークは153カ国中2位でした(1位はフィンランド、日本は62位、フィジーは調査対象外)。2020年を含む過去8回の調査中、デンマークは3回にわたり、1位に輝いています。これはフィンランドと並ぶ最多記録で、ベスト3から漏れたことは一度もありません。

フィジーも幸せの国ですが、フィジー人の幸福は「子どもがそのまま大人になった」かのような無邪気な幸せ。比較して、デンマーク人の幸福は成熟した大人の幸せだと私は感じています。息子と娘には、両タイプの「幸せな大人の背中」を見せてあげたいと考えました。

2.「自由」を学ぶ

デンマークの首都コペンハーゲンには、「自由とは何か」を感じられる場所「クリスチャニア自治区」があります。クリスチャニアは「フリー・タウン」とも呼ばれ、どんな人でも差別なく受け入れています。「自由」が非常に重んじられていて、犬の自由も守られるので、犬を鎖につなぐのは禁止とされています。

クリスチャニア内の決定は、コミュニティー・ミーティング(住民が誰でも参加可能)で行われます。町長のようなリーダー的存在はおらず、住民一人ひとりが納得するまで話し合う形で運営されています。コミュニティーの発展のために各自が主体的に考え、とことん対話し、未来に対して責任を持って行動するもので、最近流行の「ティール組織」に似たところがあります。私たち家族も、4人の小さなコミュニティーとして成長すべく、「自由」と「責任」のハイブリッド方法を学んでいます。

クリスチャニア内の家はどこも個性的でアート感満載
クリスチャニア内の家はどこも個性的でアート感満載