共通点2 「まったり時間」が習慣化

 デンマーク語に「ヒュッゲ」(HYGGE)という言葉があります。「居心地のよさ」「人とともにいるときに感じるぬくもり」といった意味があり、日本語の「まったり」や「ほっこり」に近い言葉です。

 デンマーク人の幸せの秘訣として、2016年ごろから欧米(特にイギリス)でヒュッゲ・ブームが巻き起こり、オックスフォード英語辞典の「Word of the Year」にもノミネートされました。

 ヒュッゲ・タイムとは、具体的には「気のおけない友達と集まり、あたたかい部屋でキャンドルをともし、コーヒーを飲んだり、映画を観たりする」時間のことです。お金をかけなくてもつくり出すことができる「小さな幸せ」をデンマーク人は大切にしています。ヒュッゲ・タイムがあるため、「上へ上へ」という野心のインフレを防ぐことができています。

 フィジーにもヒュッゲ・タイムにあたるものがあります。「カバ・タイム」です。

 「カバ」とはフィジーの伝統的な飲み物のこと。木の根っこを乾燥させ、粉状にしたものを布で包み、洗面器に入れた水の中でしぼり出して作ります。見た目は泥水、味は漢方薬。

 フィジー人はカバ・ショップもしくは誰かの家に夕方くらいから集まり、そこでカバを飲みながら深夜まで語らいます。彼らは「カバ・タイム」のために生きていると言っても過言ではありません。No Kava ,No Life。

 カバには鎮静作用があります。飲めば飲むほどテンションが上がるお酒とは逆で、飲めば飲むほどテンションが下がる 「アンチ・エナジードリンク」です。リラックスしすぎて、カバ・タイムの終盤は沈黙状態になっていることも多く、まったり感がすごいです。

共通点3 医療費が無料

 デンマークは国民一人ひとりに「家庭医」が割り当てられており、まずは家庭医に診てもらい、高度な医療が必要と判断されれば、その病状に適した病院を紹介してもらえます。出産費用も無料です。

 フィジーは先進国のように高度な医療技術はありません。しかし、公立病院であれば、手術や歯科治療、出産なども無料です。