共通点4 教育費が無料

 デンマークは幼稚園から大学まで無料です。さらに大学生たちは月々8万円程度の生活費を受給できます。国として将来への投資をしっかりと行っています。新型コロナウイルスへの対応の一環としても、デンマークの首相のメッテ・フレデリクセンはオンラインで子どもたち(9~17歳)からの質問に直接答えていました。子どもたちがデンマークの民主主義を担っていくからです。このような緊急事態の中でも、「未来」を見据えて、教育を大切にしています。

 フィジーは幼稚園から高校まで無料(大学は有料)です。また、教会や村などのコミュニティー内での教育が非常に機能しています。例えば、私がよく遊びに行く村があります。その人口は約200人。そのうち18歳未満の子どもが約40人です。その村の大人たちは自分の子どもだけでなく、他の子どもの面倒も我が子と同じような感覚でみています。年上の子どもも年下の子どもの面倒をみています。 教会でも同じような感じです。仮に「学校」でうまく居場所を確保できなかったとしても、ほかの居場所(コミュニティー)が多数用意されているので安心です。

共通点5 労働時間が短い

 デンマーク人は「時間」をとても大切にするため、無駄を省いて合理的に仕事をします。残業もほぼやらず、労働時間も短いです。年間の平均労働時間はOECD(経済協力開発機構)36カ国中、2番目に少ない1392時間。1日8時間労働とすれば年間労働日数は174日となります。2日に1日以上は休んでいることになります。

※日本人の平均労働時間は年間1680時間(=210日)です。デンマーク人よりも「36日」多く働いています。

 フィジー人の働き方は勤務時間中であってもプライベートな時間であるかのように雑談が多く、なにかと休憩時間(モーニングティーやアフタヌーンティーなど)をつくっては爆笑し合って楽しそうです。

フィジーの仕事はのんびりと
フィジーの仕事はのんびりと

幸せな国の共通点とは?

 上述した5つの共通点をまとめると、こんな感じでしょうか。『医療と教育を誰でも受けることができ、仕事以外の時間が十分に確保され、仲間たちと豊かな時間を過ごす習慣があり、共に助け合う意識が強い

 日本では、仕事のプライオリティーが高く、慢性的に「時間がない」という状況にあります。また、「他人に迷惑をかけてはいけない」という呪縛が強く、共助(共に助け合う)よりも自助(自分だけで何とかする)であるべきだというプレッシャーが強いのではないでしょうか。

 でも、人は弱いのです。だからつながるのです。日本語には「お互いさま」という美しい言葉があります。このコロナ時代、日本が共助文化を取り戻すチャンスなのかもしれません。次回は、トリプルライフの過ごし方についてご説明させていただきたいと思います。

文・写真/永崎裕麻