新しいスキル開拓の可能性を探ったり、人とのつながりを広げたり…。ちょっとした小遣い稼ぎ以上の価値を生む手段として注目されている副業。本業とのバランスの取り方は? 稼ぎ方のコツは? 成功しているパラレルワーカーたちに伝授してもらいます。第5回は、20万円の自己投資で新たなスキルを身に付け、キャリアの可能性を広げた松島かんなさんに聞きました。

(上)20代前半の社内失業 自己投資20万円で異職種転職 ←今回はココ
(下)月10万の副業で年収増へ 学びを「武器」に変えるコツ

「安定した会社員人生」なんてなかった

 企業の地方展開支援サービスを運営するITスタートアップ企業で、クリエーティブディレクターとして働く松島かんなさん。前職時代、社会人2年目でウェブデザインを学んだことをきっかけに、本業と副業で新たなスキルを生かして働くパラレルワーカーとしてのキャリアをスタートしました。

 大学卒業後、地元のインフラ企業に新卒で入社。多様な業種を展開する大手企業で経験を積みたいという気持ちはあったものの、当時は将来のキャリアについて深く考えていなかったといいます。転機になったのが、入社1年目の終わりに始まったコロナ禍でした。

 「2020年3月、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化してきたころ、私は旅行部門で企画を担当していました。4月に入ると緊急事態宣言が発出され、企画していたツアーはすべて中止に。上司の多くが異動し、私は旅行部門に残ったものの、ほぼ休業状態になりました。安定した会社に入ったつもりだったのに、『社内失業』という前代未聞の事態。こんなことってあるんだ! と強い危機感に見舞われました