自宅だけでなく、外出先やオフィスにいるときなど、災害はいつどこで起きるか分かりません。一人暮らしの場合でも用意しておきたい防災グッズや日ごろから備えるべきこと、地震発生時に命を守る正しい行動について、危機管理教育研究所・危機管理アドバイザーの国崎信江さんに話を伺いました。

1.「もしも」のとき、命を守るための行動マニュアル
2.一人暮らしの防災 備えておきたいこと&防災グッズ ←今回はココ
3.災害時にまずすべきことは? 一人暮らしなら災害疎開も

災害時の備えどうしたらいい?

 災害への備えと聞くと「災害用かばんを用意しないと」と考える人が多いかもしれません。しかし、国崎さんは、いざ災害が起きたときに、とっさにいつも使っているかばんを持って出る人は、「あえて災害用のかばんを用意する必要はない」といいます。

 「『自宅で災害が起きたとき、いつも使っているかばんと災害用かばんがあったら、どちらを持って避難しますか?』と講演で聞くと、約8割の人が『いつも使っているかばん』と答えます。その理由は、お金や社員証、携帯電話など、無いと困るものが入っているから。そういう方は、いつも使っているかばんの中に、非常時に使えるグッズを入れておくほうが合理的です」と提案します。

 「例えば、携帯トイレやゼリー飲料などのちょっとした食べ物、笛、止血パット、マスクやモバイルバッテリーを入れておけば、それこそが自分だけの災害用かばんになります。笛は災害時に助けを呼びたいのに声が出ない場合、声の代わりとして使えます。これらはかさばるものではないので、そこまで負担にはならないはずです」

 国崎さんが特にお薦めするのが黒いゴミ袋です。「黒いゴミ袋は、非常時にブランケットとして使えます。また、水が欲しいときは給水袋に、いざとなったらトイレにもなります。帰宅困難者になった場合、下に敷いて底冷えを防げるし、頭からかぶれば、雨もしのげます」