ステイホームで家にいる時間が増えた今、リラックスするために「香り」を取り入れてみるのはいかがですか? 古くから日本人に親しまれているお香は、場を清め、気持ちを落ち着かせてくれます。今回は型抜きを使う「印香(いんこう)」づくりを、オンライン講座で学びます。

日本古来の香りアイテム「お香」

 匂いは人の記憶や感情に大きな影響を与えるそうです。目には見えないものですが、好きな香りはそれだけで癒やされますよね。今回紹介するテーマは、日本古来の香りアイテム「お香」です。

 「和の香り」にプロとして携わる香司(こうし)であり、紹光山願隆寺(名古屋市)の坊守(ぼうもり:住職の配偶者のこと)である石濵栞(いしはましおり)さんのオンライン講座を受講、印香づくりを体験しました。 

まるでクッキーのような見た目の印香(画像提供:石濵さん)
まるでクッキーのような見た目の印香(画像提供:石濵さん)

 印香とは、型抜きを使って作る香りのこと。まるで和菓子のようなかわいらしい見た目は、ひな人形など、季節のものと一緒に飾れば鑑賞用のお香としても使えます。

お香が女性の心身に及ぼす影響

お香にはさまざまな効能がある(画像提供:石濵さん)
お香にはさまざまな効能がある(画像提供:石濵さん)

 古(いにしえ)より日本で親しまれてきたお香。良い香りを楽しむだけでなく、穢(けが)れを落とし邪気を払うと考えられており、お寺など信仰の場でも使われています。さらにお寺は昔から人が多く集まる場所だったので、疫病を避けるため殺菌作用のあるお香を焚(た)いたという説もあります。

 また、日本の女性たちはお香を身に着けたり、手紙に添えたり、タンスに入れたり、日用品としても生活に寄り添ってきました。

 石濱さんが考えるお香の一番の影響は、鎮静作用により「精神が穏やかになった」ことだそう。自律神経、ホルモン分泌を整えるなど、女性にとってはうれしい効果もあります。お香には殺菌作用もあるため、部屋の空気も清らかになるのだとか。

 次のページからは、実際に印香づくりを体験。睡眠前や会議前といったシーン別のお香の使い方も紹介します。