お金に関する知識を持つ「ファイナンシャルプランナー」は、働きながら資格取得を目指す人も多い、社会人に人気がある資格の一つ。働きながら資格取得した人と、現役ファイナンシャルプランナーの方に聞いた、「おすすめの勉強法」について紹介します。

 ファイナンシャルプランナー(以下FP)は、保険や税金などお金に関する知識を持ち、ライフプランの設計も行う、いわばお金の専門家。さまざまな業界で求められる資格のため、キャリアアップにもつながるといいます。今回は、FP資格取得を目指す人のために「実際に働きながら資格を取得した人」「現役FPからの勉強法とアドバイス」を紹介します。

コロナ禍でできた時間を生かし勉強を開始

 近藤愛実さんは30代。投資用不動産の企画や開発、販売などを行うグローバル・リンク・マネジメントで、広報として企業の社外向けPRや社内広報、ブランディングなどを担当しています。

 2020年に、FP3級に合格。コロナ禍で在宅勤務が増え時間があったため、続けて勉強。2021年には 2級に合格しました。

 勤務先の不動産会社には資格手当制度があり、2級以上を取得すると手当が出るそう。「業務にも生かせますし、自分や家族のために、金融の知識を幅広く身に付けたかったんです」

とにかく過去問を解く 近藤さんの独学勉強法

 近藤さんの勉強法は、YouTubeなどを活用しつつ、過去問を何度も解く方法。過去問はサイトを活用し、無料でさまざまな問題を解くことができたといいます。また、FPの勉強に欠かせない電卓にもこだわりがあるのだとか。

勉強をする上で役立ったもの

・YouTube

 FP資格にかかせない6つの係数や、債券利回りの計算式などの複雑な語呂合わせはYouTubeで覚えたそう。文章だけでは分かりにくいことも、動画で説明してもらうことで頭に入りやすそうです。

 「特に『おーちゃん【1級FP技能士】TV』さん、『お金の寺子屋』さんの動画が分かりやすくておすすめです」

・過去問道場(サイト)

 過去5回分を毎回90%以上合格できるまで、何回も繰り返して解いたそう。さらに2級は想定問題集も1度解き、「問題に慣れることを心がけた」という近藤さん。

 「個人的にはこのサイトさえあれば問題集もいらないと思います。無料とは思えないくらい多機能で感動しました。2級までは頻出問題も多いので、とにかく過去問を解いて苦手な分野を潰していけば合格できる試験だと思います」

・好きなデザインの電卓

 FP試験では電卓を会場にも持ち込むので、自分が使いやすい電卓が必要とのこと。気に入った電卓なら勉強もはかどりそうです。

「折りたたむとフラットになるので荷物の邪魔になりませんし、見た目もシンプルで気に入っています」
「折りたたむとフラットになるので荷物の邪魔になりませんし、見た目もシンプルで気に入っています」
近藤さん愛用の、無印良品の電卓
近藤さん愛用の、無印良品の電卓

ギリギリでも合格! 勉強スケジュール

 ギリギリにならないとエンジンがかからないタイプという近藤さんは、試験1カ月前から勉強を始めたそう。

近藤さんが勉強のモチベーションを保った方法

・知らないことを学ぶのを楽しむ

 未経験の分野を勉強するのは大変なこと。しかし、近藤さんはそれを楽しむようにしてモチベーションをキープ。「今まで知らなかったことを学べる」と、基本的には楽しく勉強できたそう。

・過去問の合格率が高くなっていることを実感する

 近藤さんが利用していたサイト「過去問道場」では、学習履歴も記録されるため毎回の合格率が分かります。

 「最初は見慣れない単語も多く苦労したものの、合格率が高くなるにつれ自信が付き、継続して勉強が続けられた」と近藤さん。自分の成長が数字で分かると、やる気が出そうです。

・同僚と情報交換

 「勉強を続けるためには一緒に支えあう仲間も大切」だと近藤さんは言います。社内で一緒に試験を受ける同僚と、時々情報交換をしてモチベーションを上げていたそう。

FPの資格を取得して良かったこと

・知識をプライベートに生かせた

 資格取得と同時期に、注文住宅の自宅を建てた近藤さん。土地を探す際にも、用途地域や建蔽(けんぺい)率 など、不動産関連の知識が役立ったとか。

 「間取りを作成するときも、FPで習った建築基準法の用語が多く出てきたため、すんなりと理解できました」

・投資に生かせた

 「投資信託や不動産投資、NISAなどさまざまな資産運用を行っているので、FP試験で身に付いた全般的な知識が役立ちました」

・勉強の楽しさに気付いた

 2級に合格したことで勉強の楽しさに目覚めた近藤さんは、その後も常に別分野の資格取得を続けているそう。

 「FP資格を持つことで、金融に関する幅広い分野の知識が身に付き、自分のライフプランのシミュレーションにも大きく役立ちます。私はもっと若いうちに受検すればよかったと思いました。年に3回受検できるので、迷っている方はまずは3級からぜひチャレンジしてみてください」