「ベンチャー向きか、大手向きか」は、何に対して努力したいかによって決まる

就活生からの質問 ベンチャー企業と大企業、それぞれ働いてみてどうでしたか?

田汲 ベンチャーは一人に任される裁量が大きいので、若手にとっても挑戦しやすい環境だと思います。「新しいことにチャレンジしよう」というマインドがあり、仕事の進み方も速いです。大企業で働いていた頃と比べて、書類にハンコを押す回数が少なくなり、そうした面倒臭さがなくなりました。一方で、大企業は研修や教育が手厚い印象があります。大企業の向き不向きは人によるかな、と思います。

牧野 僕は以前はいわゆる大企業に所属していました。大学時代の僕は何の取りえもなく、キャリアプランもありませんでした。何となく広告業界を目指し、営業かマーケッターになれればいいなと思っていました。だけど、入社後はコピーライターの部署に配属させられ、それが結果的に天職になったんです。希望していなかった職場に行かされて、偶然天職に出合えたわけです。

 ベンチャーにも大企業にも、それぞれいいところはあるので、まずは気になるところに飛び込んでみることが大事だと思います。ベンチャー、大企業のどちらかを選ぶ際、「規模」はあまり重要ではなく、自分自身が何に対して努力をしたいか、そして、何を目指しているかが大事だと思います。

 私は、もともと広告業界に興味があり、スポーツドクターだった父の仕事に付いていったのがきっかけで、今の職場と出合いました。初日から、近所のお兄さんくらいの物腰の柔らかさでしゃべってくれる大人たちばかりで、すごく楽しかったんです。インターンをさせてもらったとき、人生がようやく始まったような期待と興奮がありました

 そして約2週間後に「ここで働きたい」と思うようになりました。でも、正社員になれるとは正直全然思っていなかったので、社長から「正社員に」というお話をいただいた時は正直驚きました。学生で正社員…なんてことが起こりうるのか、と。

 この会社は「おかしなやつ」を「おかしなやつ」で終わらせずに、生かしてくれるところだな、と感じています。狂ってしまいそうなほど好きなものがある人は、それを生かせる職場というキーワードで就職先を探すのもいいと思います。

就活生からの質問 就職活動をしている学生たちに向けて、メッセージをお願いします。

田汲 健康を大事に。そして、けがには気をつけて(笑)(※この日、手首を骨折した状態で登壇)。また、僕自身は先が分からない中やってきたので、キャリアプランは最初からきちんと形成していなくても大丈夫だと感じています。就活では「どこで何をするか」よりも、「誰と働くか」という視点を大事にしてほしいです。

牧野 仕事はすごく楽しいものです。やりたいことや、こうしたらいいのではないかということを考えて作り上げ、それに対してお金がもらえるというシンプルなものだと思っています。僕は時間が許す限り、自分が作りたいと思うものを追求しています。皆さんも、あまりネガティブにならず、いろんな人の話を聞いてみてください。就活は色々な会社を見ることができる、とてもいいチャンスです。希望を持って社会に出てくれれば嬉しいです。

 昔は新卒で就職した会社に終身雇用されることが多かったですが、今は転職しやすい時代です。だから、「自分の性格」と仕事の相性を考えることが大切だな、と思っています。私にはやりたいことや好きなことがすごく強くあるんです。でも、その半面、物事を整理したり、時間を管理したりすることがとても苦手です。

 学校生活では平均点を求められて、「1つでも赤点ならダメ」みたいに見られるけれど、会社には色々な人がいて、アイデアを出す人、仕事を回す人、物事を整理する人などで成り立っています。だからこそ、やっぱり自分の性格を見極めて、それを生かすことが大事だと思うんです。どんな業種に就職するかより、自分がどんな働き方ならより輝けるか、という視点のほうが大事なのではないかな、と思います。


 3人とも悩みつつも、日々前進し、楽しく仕事をされていることが伝わってきました。あまり気負うことなく働いていく中で、自分のタイプや働き方を模索するのがいいのかもしれません。