コロナ禍を機に、都会から地方都市への移住を考える人もいるのでは? しかし、移住先での仕事やキャリア形成、そして人間関係に不安もあるのではないでしょうか。2021年に、神奈川県から長野県伊那市へ夫と子どもと共に移住した杉本ゆきこさん(仮名・30代後半)も、そんな不安を抱えていた一人。現在は充実した日々を過ごす杉本さんに、コロナ禍での移住に至る経緯について聞きました。

夢だった林業の仕事 限界を感じ将来に悩み

杉本ゆきこさん(仮名・30代後半)の移住年表
杉本ゆきこさん(仮名・30代後半)の移住年表

 山好きな両親の影響で、小さい頃から週末を神奈川県の自然あふれる場所、丹沢で過ごすことが多かった杉本さん。大自然と触れ合うなかで、将来は森林関係の仕事につきたいと考えるようになり、大学も森林科学が学べる学部を選択。

 その後、念願がかなった杉本さんは、神奈川県の職員として10年間、森林・林業の専門職に従事。県内の森林の保全や利用に関する計画を立てたり、森林に関わる許認可を担当したり、地元住民や森林所有者と一緒に森林管理の方法を考える仕事をしていたそう。

 しかし、公務員という立場、かつ行政という枠組みの中ではできることに限界を感じるときも多く、「このままでいいのか?将来を考えたとき、自分に何が残るのか?と思い悩むことが増えていった」といいます。

 そんなとき、気晴らしに長野へ家族旅行に出掛けた杉本さん。そこで運命とも言える「間違い」がありました。