女性が職場で活躍できる社会を実現するために制定された「女性活躍推進法」。対象となる企業にはさまざまな取り組みが義務化されていましたが、2022年4月の改正では対象企業の範囲が拡大。企業側は、女性が活躍できる場を充実させ、仕事と生活が両立できる体制をどのようにつくっているのでしょうか。アドフラウド対策国内最大手のSpider Labs(スパイダーラボズ)のCEO(最高経営責任者)として会社を運営しながら、3人の子育てをしている大月聡子さんに、子育て世代に優しい企業制度や、時短のために工夫していることについて聞きました。

27歳で起業 CEOであり3児のママ

 インターネット上で起きる広告詐欺・広告不正を総称して「アドフラウド」といいます。このアドフラウド対策国内最大手のスタートアップ、Spider Labs(スパイダーラボズ)を27歳で設立した大月聡子さん。現在はCEO(最高経営責任者)として会社を運営しながら、3人のお子さんを育てています。

 社内の約半数を12カ国の外国籍の社員が占め、2020年にはポルトガルにオフィスも開設。大月さんも、2021年12月から家族でポルトガル・リスボンと東京との2拠点生活をスタートさせました。

Spider Labs(スパイダーラボズ)CEO大月聡子さん
Spider Labs(スパイダーラボズ)CEO大月聡子さん

自身の会社でも子育てを支援する制度を導入

 27歳で起業。その後結婚し、31歳で出産した大月さん。働きながら3人の子どもたちを育ててきました。

 働きながら子育てをする上で、大月さんが気づいたのは、「オムツやミルクといった子育てに必要なものや、ベビーシッターに頼む際の人件費が高い」「こと。また、「子どもは急に風邪を引く」というのも、子育てをして実感したことの一つ。

 「それまでは、オムツやミルク、ベビーシッター代は自分のお小遣いから費用を捻出していましたが、家計のやり繰りを経験したことで、子育て世代の社員へ還元しようと考えました」

 そこで大月さんは、東京とポルトガルにある自分の会社でも子育て世代の従業員をサポートするため、育児にかかる負担を可能な限り会社が負担できるようにしました。子ども1人につき月1万5000円の手当を支給しているほか、コロナ禍の緊急事態宣言中はベビーシッター代を100%補助。そのほか、子どもが病気になった際は5日間の有給休暇を取得できるようです。

 しかし、会社としてはコストがかかり、導入は簡単ではありませんでした。けれど、大月さんは「これらの補助やサポートが社員の生産クオリティー向上につながり、会社としてのPRにもつながると考えれば、苦労とは感じませんでした」と語ります。

 仕事と子育てを両立しやすい制度を整えたことで、現在は男性の育休取得が50%、産休・育休からの職場復帰率は100%(2022年予定)となっているそう。