2030年までに解決すべき国際的な課題「SDGs(持続可能な開発目標)」。さまざまな取り組みが行われていますが、私たちは何ができるでしょうか? 国が推進する地方創生事業の一環で「SDGs未来都市」に選定された北海道の小さな町からSDGsの達成を目指す女性に話を聞きました。

SDGsは未来を変えるツール

 下川町(北海道上川郡)の人口は約3000人(2022年9月現在)。JRの駅もなく最寄りの空港までは約2時間。決してアクセスが良いとは言えない場所ですが、近年注目されつつあります。

 17年には「平成29年度第1回ジャパンSDGsアワード」のSDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞受賞、18年には「SDGs未来都市」に選定。国連主催の国際会議で町の取り組みを発表するなど、世界的に注目を集める町です。

 そんな下川町に移住し、下川町役場でSDGsについて取り組むSDGs推進戦略室の清水瞳さん(25歳)。彼女のキャリアプランやSDGsに対する考え方について話を聞きました。

下川町役場 政策推進課 SDGs推進戦略室 清水瞳さん
下川町役場 政策推進課 SDGs推進戦略室 清水瞳さん

 「言葉で人の考えや行動に影響を与えたい」と大学へ進み、SDGsなどの環境政策を研究した清水さん。SDGsも「言葉」だと言います。

 「世界の国々が賛同している目標『SDGs』は取り組み方が自由で、私たちが住みたい未来を描くためのものです。その自由がゆえの余白の多さが魅力でした。『SDGsは、人々が同じ文脈や土俵に立ち、未来について話し合えるツールになる』。そう思い、一般市民に最も身近な自治体がどのようにSDGsを使っているかに注目し始め、取り組むようになりました」

清水さんがインターン時代に作成した「しもかわSDGsマップ」
清水さんがインターン時代に作成した「しもかわSDGsマップ」

 「自治体×SDGs」を研究するきっかけとなったのが、インターンシップで訪れた下川町でした。下川町は、SDGsが採択される前から持続可能なまちづくりに注力。 町民が中心となって下川版SDGs(「2030年における下川町のありたい姿」に盛り込まれた7つの目標)を策定し、総合計画の将来像に位置付けていました。SDGsを「ジブンゴト」に落とし込んでいた下川町は、大学でSDGsを学ぶ清水さんにとっては魅力的な町だったのです。

 インターンを終え就職活動をし始めた当時は、先輩や同期と同じように東京のコンサル会社やリサーチ会社への就職というキャリアパスをイメージしていたそう。しかし、「ローカルから新しいことに挑戦する」「新しい事例をつくる」ことがしたかった清水さんは、違和感を抱き始めます。次第に「それなら下川町から世界を変えたい」と思うように。