現在、フルリモートワークで働く人も多いと思います。郊外や地方で働きながら余暇を過ごす「ワーケーション」も注目されています。今回はワーケーションを通じた地方での働き方・暮らし方について取材しました。

 新型コロナウイルスの影響により、リモートワークが日常に。さらに、自宅以外で休暇を兼ねて働く「ワーケーション」という言葉も認知度が高まっています。しかし、実際に「ワーケーション」できている人は少ないのではないでしょうか。今回はワーケーションを広める取り組みをしている企業と、地方での過ごし方にスポットを当てます。

「ワーケーション制度」導入した企業、社員の声は

 e-Jan ネットワークスは、テレワーク導入の橋渡しツールを開発する企業。さらに社内でも法人向けリモートアクセスサービス「CACHATTO(カチャット)」を活用し、約 20 年前の創業当時からテレワークを推進してきました。

 最近では、テレワークを最大限活用したリフレッシュ機会として「ワーケーション制度」を導入しました。この制度はワーケーションにかかる交通・宿泊費5日間分を補助するもの。東京本社、大阪営業所、高知オフィスの他に、新たに北海道・函館にサテライトオフィスを開設。海辺の風光明媚(めいび)なワーケーション拠点として始動しました。

 それまでテレワークの場は自宅しかなく、代表の坂本史郎さんは「もっと仕事場の選択肢を増やし、いろいろな所で仕事をできるようにしたい」と考えていたそう。2020年8月には社員からも「ワーケーションがしたい」と声があがり、導入に至ったそうです。

 函館市内の使われなくなった飲食店をサテライトオフィスとして利用したり、函館にある教育機関の学生と技術的な連携を取ったりと、地域の発展にも力を入れています。

高知オフィスからの景色。左奥の高知城が見える
高知オフィスからの景色。左奥の高知城が見える

 さらに高知オフィスでは、拠点長以外の全従業員が現地採用。良い人材を東京に呼ぶのではなく、会社から地方に向かう姿勢を大切にしているそう。「日本には自然や文化、人などたくさんの魅力があり、それを『ワーケーション制度』で社員の人に体験してもらいたい」と坂本さん。

 次のページでは、制度開始前の「プレ実施」で、ワーケーションを体験した人の話を紹介。コロナ禍での、仕事に対する「慣れ」と「閉塞感」を打ち破ったきっかけを聞きました。