AMH(アンチミューラリアンホルモン)検査を知っていますか? 卵巣の予備能(卵巣の中に残っている卵胞の数の目安)を反映する血液検査で、女性のライフプランを考える上で知っておきたい検査です。今回は、自身もAMH検査を受けたという東京五輪・女子柔道金メダリスト・阿部詩(うた)さんに話を聞きました。

前編 柔道金・阿部詩 AMH検査で考える将来のライフプラン ←今回はここ
後編 柔道金メダリスト阿部詩 プレッシャー「ただ受け止める」

日本は世界一の不妊治療大国

 不妊治療件数は年々増加の傾向にあり、日本産科婦人科学会によると日本の体外受精件数は年間約45万件と、不妊治療大国なのだそう。しかし、晩婚化などの要因もあり不妊治療を開始する年齢自体が高齢化しています。

 日本の不妊治療技術は世界でもトップといわれる一方、不妊治療の「初めの一歩」が遅いという問題も。そのため「ライフプランの選択の幅」がせまくなってしまっている可能性もあります。「初めの一歩」 をいつ踏み出すか。そこで受けておきたいのがAMH検査です。

AMH検査とは?

 AMH検査は、卵巣の予備能(卵巣の中に残っている卵胞の数の目安)を反映する血液検査です。検査は血液を採取するだけと、とても簡単。自身の体の現状を知り、ライフプランの設計に役立てることが期待されています。

なぜ卵子の数を知ることが大切なのか?

 胎児期に原始卵胞という形で卵巣内に卵子が作られると、その数は増えることはなく、加齢と共に減少していきます。出生時に約200万個あった卵子は、35歳時点で約1~3万個になり、閉経時の卵子数はゼロに近づいていくことが分かりました。現時点での卵子の数を知ることで、自分の妊娠の可能性、目安を知ることができるのです。

 不妊治療専門の杉山産婦人科理事長、杉山力一(りきかず)さんは、「AMH検査をして現状を知り、ライフプランの設計に役立ててほしい」と話します。

 「卵子は0歳のときが最も多く、その後減少していきます。ピルを飲んで月経が止まっていても、卵子は減ります。

 AMH検査は卵巣の中に卵子がどれだけ残っているかという数値を知るための検査であり、妊娠の確率までは分かりません。将来設計の目安として参考にしてみてください」(杉山さん)

画像提供/W society 神奈川県 健康医療局「丘の上のお医者さん」ウェブサイトのデータを基に作成
画像提供/W society 神奈川県 健康医療局「丘の上のお医者さん」ウェブサイトのデータを基に作成