上海での仕事は上がったり

 坪井さんは中国で、働く親の子どもたちの一時預かりや幼児教育サービスを手掛けている。「新型コロナウイルスの感染を恐れて、お客様も外出しないため、商売は上がったりです。中国資本の航空会社などのインフラ系を支える企業は減った売り上げを政府に補填してもらえるようですが、外資の会社への支援はないと思います。あるとしても、税免除くらいでしょうか。私の会社は支援対象外だと思います」

 坪井さんの会社の利用者である親や子どもたちも外出が難しいため、坪井さんはスタッフと協力し、子どもたちの交流会などをオンラインで行っています。「教育サービスを提供する会社は、私たちも含め、オンラインのレッスンをボランティアで行っているところが多く見られます」

 坪井さんの周囲の現地の会社員たちの多くは、現在もまだリモートワークを実施している。「中国の会社はオンラインが発達しているので、リモートワークによる不具合よりも、オフィスを抱えていることに対するリスクを感じる中小企業が多いようです。オンラインサービスを手掛けている会社に勤めている知人は、会社のオフィスを解約しました」

オンラインの授業は親も子も疲れる

 上海出身・上海在住の中国人、李さん(仮名)の家庭では、小学1年生の娘がオンラインで月曜から金曜の毎日8時50分から16時20分は授業を受けている。「オンラインだと子どもは学校で授業を受けるより疲れるようで、休憩時間が長めに確保されています。授業を受けることができて助かってはいますが、通常、先生が見てくれていた課題をすべて親がチェックしなくてはならず、大変でもあります」(李さん)

 夫は通常、上海市内のIT企業に勤務している。春節明けから在宅で仕事をし、3月半ばまでこの生活を続ける予定だそう。妻はネット系企業に勤めた経験を生かし、関連業務をフリーランスで自宅で行っているので、自宅待機中も問題なく働けている

 小学生の子どもが家にいたり、普段は日中、家にいない夫がいて家事が増えたりして大変になっているのではと聞くと、この世帯は典型的な上海人の家庭で、食事は基本的に同居の祖父母が作ってくれるため、「負担の増加は感じていません」(李さん)。特に祖父は料理上手だそう。ただ、この点は個人差が大きく、これまで不要だった平日の食事作りなど、通常以上の家事負担が発生し、妻が大変な思いをしている家庭は多い