1月末に厚生労働省が開いた記者会見で、新型コロナウイルスの日本人感染者が明らかになってから早1カ月半が経過し、国内での累計感染者は既に800人を超えている(3月17日12時現在、厚生労働省より)。他方、世界で最初の感染者を出した中国では感染拡大がピークアウトしていると報道される。中国での対応を、現地の働く人々はどう受け止めたのだろうか。

日本への一時帰国中も、ウェブやSNSで日々、情報収集

 2020年の春節(中国の旧正月)期間は1月24~30日だった。「その長期休暇に突入する前日の1月23日に、新型コロナウイルスによる初の感染者を出した武漢が閉鎖されるという噂が、中国のSNS上で流れてきました」と話すのは、doors世代で上海を拠点とするKGCコンサルティングという会社を起業し、経営している坪井与枝さん。

 坪井さんの友人とのやり取りの中では、閉鎖前の武漢から約30万人が上海に流入したという情報もあった。坪井さんは、春節に1歳10カ月の娘と夫と3人でイギリスを旅行し、その後中国の上海に戻って仕事を再開する予定だった。しかし、ロンドンから上海に戻る時点で、上海での感染者が300人を超えたため、娘のことを考えてスケジュールを変更。日本(東京)に向かい、現在も日本で待機中だ。

 仕事や生活の拠点を中国・上海に置いているため、いつ中国に戻れるのか、仕事を本格的に再開できるのはいつになるか判断しようと、日々、ウェブや現地の知人とつながるSNSで情報収集している。

 「中国にいる知人に聞いたところ、感染の少ない地域に実家があるなどの環境が整っている人の中には、避難した人もいたようです」

 春節期間を通して上海現地で過ごしていた人は、春節が終わる1月30日から、さらに1週間の自宅待機。春節の間、湖北省など感染が広がった地域を訪れ、その後、上海に戻った人は、そこから2週間の自宅待機を政府から命じられた。

 春節中に感染が拡大したことを受け、中国政府および上海市により、教育機関に対し、休みの措置を取ることが通達され、保育園・幼稚園から大学が2月16日まで約3週間休みになった。2月17日からは小学校から大学までは、自宅で「ウェブ受講」というかたちで多くの学校が再開した。

 春節後1週間の休み期間中に、各学校はウェブ配信用の教材を用意し、自宅待機中の小学生~高校生にスマホやタブレット経由で授業コンテンツの提供を開始した。「残念ながら日本人学校は多くの生徒や先生が日本に一時帰国し、こうした授業コンテンツ配信はなかったそうです。最初は2月17日に授業が再開される予定だったので先生たちは上海に戻ったのですが、最新の発表で授業再開が5月4日に延期されたと聞いています」