新型コロナウイルス感染防止でかつてない規模でのテレワーク導入が始まっています。社員の在宅勤務を奨励する企業やそこで働く人は、滞りなく業務を続けるためにどんな工夫を実践しているのか、その最前線に迫りました。

6割が「テレワークを活用できない」

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにテレワークが推奨されているものの、企業によってはまだ踏み切れていないケースもあるようだ。業務管理ツールを提供するヌーラボがIT企業を中心に行った調査によると、「コロナウイルス感染症の流行に伴い、あなたの職場はテレワークをするように指示があったか?」という問いに、688人のうち、25.5%が「(テレワークの活用を会社に提案したが)許可されなかった」と回答。また666人のうちの64.7%が「2020年2月時点にテレワークを活用しなかった」と答えた(2020年3月18日時点)。

 ヌーラボの担当者は「突然テレワークと言われても、実際には社内規程やITインフラの整備が追いつかなかったようだ」と話す。

 では、大規模なテレワーク体制にに踏み切った企業では、具体的にどんな対応をしたのだろうか。

6割の企業が「テレワークを活用できない」という回答も(写真はイメージ)
6割の企業が「テレワークを活用できない」という回答も(写真はイメージ)

パナソニックは各部署にツール選択を一任

 パナソニックは2月26日に東京・中央区にある法人向け事業などの拠点に勤める社員約2000人を原則在宅勤務にすると明らかにした。同社では以前から社員が使えるITツールを充実させ、テレワークに備えていたため、業務は滞りなく続けられているという。

 「事務系社員のほとんどはパソコンに加えてiPhoneかiPadを持ち、作業しています。画面を通して話ができるSkype for Business、社内データ共有などに使うファイルサーバー、メッセージを簡単にやりとりできるインスタントメッセンジャー (IM)なども使用可能です。どのツールを使うかは、各部署に任されています」(パナソニック)

 さらに社員がテレワークにスムーズに移行できるよう、申請手続きを簡略化している。「在宅勤務計画書や実績報告書の提出が必要だったのを不要にしました。また、上司に申請する際はメールで手続きする必要がありましたが、口頭で伝える形でもOKとなりました。こうした対応をした結果、在宅勤務開始後も大きな混乱なく業務を続けられています」