バックキャスティング思考とフォアキャスティング思考

 すると「練習する」「余裕を持って現地に到着する」「カンペを作る」など、できることがたくさん挙がってくるはずです。そして、この「できること」に向き合って「目標達成のための行動」を積み上げた場合の方が、「緊張する」と内向きに悩んでいた時よりも、より生産的な結果につながりやすいのがイメージできるのではないでしょうか。

 このように、「緊張する」という問題は解決しなくても、「よいプレゼンをする」という目標は達成できるかもしれないのです。

 「目標」ありきで取るべき行動を明確にし、進捗を確認しながら前に進んでいく。これがコーチングの基礎となる「バックキャスティング思考」と言います。逆に、「今はこうだから、将来はこうだろう」という描き方をするのが「フォアキャスティング思考」と呼ばれます。

 バックキャスティング思考では未来にたどり着きたい高い目標を設定した上で今やるべきことを決定し、無駄な行動を省くことができるので、フォアキャスティング思考と比べると自分が行きたいと願う「よりよい場所」にたどり着いている可能性が高くなります。

 行きたい場所と現在位置とやるべきことを明確にし、向き合わなくていい「悩み」と向き合わなくて済むように、ぜひ「コーチング」の考え方を試してみてはいかがでしょうか。

今回のセルフコーチングTIPS/悩んだら「どうなったらうれしいだろう?」と問いかけてみる

文/櫻本真理 写真/吉澤咲子 イメージイラスト/PIXTA