今と「願い」の距離を把握する

 現状の制約はひとまず棚上げして「願い」を探し当てる作業が終わったら、今の自分にできること、人より上手にできること・たくさん持っているものなどを棚卸ししてみることも大切です。これについては、連載第3回の記事(「やりたいことが分からない」人へ 自分を知る質問8つ)も参考にしてください。

 「新しいことを学んでいるときにワクワクする」「人と話すのが得意」など、自分の素直な感情に注目して現状を整理することで、「自分の今の居場所」と「願い」との距離を把握できます。

今取り得るアクションは?

 そうしたら、「願いにほんの小さな1歩でも近づくために、失敗シナリオを避けつつできることは何だろう?」と考えてみましょう。

 例えば、「人と話すのは好き(=価値観)だし、得意(=スキル)。これを生かして、今よりもっと、誰かに感謝されるような仕事がしたい(=願い)」というところまで自分を理解できていたとします。

 その上で「誰かに感謝されるような仕事に就くためには、コミュニケーションのスキルに磨きをかけたい。新しく見つけた自分の軸で、業種や職種の選択肢も洗い直してみたい」「そのために、明日からできることって何だろう?」と思考を積み重ねていきます。

 「コーチングスキルを磨くために教科書を買ってみる」「転職エージェントに話を聞いてみる」「関心のある業界で働いている友人をランチに誘ってみる」……。いろいろなアクションがあり得るはずです。頭の中で考えていると、まとまりにくいので、ノートなどに問いと答えを書きながら整理していくのがお勧めです。

 そうして小さなアクションを積み上げていく過程で、「本当はどうしたいのか?」「どの選択肢が最適なのか?」も見えてくるでしょう。

思考停止しないために役立つコーチングの技術

 現状に不満があるときに一番よくないのは「不満があるけど何もできない」という無力感の中で思考停止してしまうこと。そんなときこそ、コーチングの技術を活用してみてください。

 一気にバラ色の世界にたどり着くことはないかもしれません。でも、どんなに小さなアクションでもこなしていくことで、必ず視野は広がっていきます。1歩ずつでも着実に、「今よりも幸せなキャリア」へと進んでいきましょう。

文/櫻本真理