読売テレビの番組企画で誕生した日経WOMAN編集部のミュージックビデオに、自身の楽曲『余裕』を提供してくれたラッパー・あっこゴリラさん。最新EP『ミラクルミー』の中では「自己肯定感爆アゲ」をテーマにした楽曲を発表しているものの、かつては「自己肯定感が地にめり込むほど低かった」と語ります。

考え方が変わったヒントはどこにあるのでしょうか? 自己肯定感、フェミニズム、そして音楽。彼女を形作るキーワードを基に、その人生をひもときます。※ミュージックビデオの動画は4月30日までの期間限定公開です。

前編 あっこゴリラ 日経ウーマンMV曲『余裕』に込めた思い
後編 あっこゴリラ フェミニズムとは、自分を取り戻すこと ←今回はここ

ラッパー・あっこゴリラさんは、「これまでの人生で味わったあらゆることに、“差別”が含まれていると感じた」
ラッパー・あっこゴリラさんは、「これまでの人生で味わったあらゆることに、“差別”が含まれていると感じた」

MCバトルで「差別」を目の当たりにした

 あっこゴリラさんは2019年3月、「フェミニストって名乗ることにした」と自身のツイッターで公言。現在はフェミニズムにまつわる発言や活動も行っている。

 そんな彼女もかつて「フェミニズム」の存在を「怖い、無理」だと思い込んでいた。フェミニズムについて考えるようになったきっかけは、ソロのラッパーとして活動し始めた28歳のとき、名前を売るために出たMCバトルの場だった。

「ラッパーの世界は男社会。女はブスだとか枕営業だとか言われるのが当たり前で、しかも超盛り上がる。言われたら逆手に取ってうまいこと言い返さないと勝ち上がれないのがMCバトルの長年のおきて。でも、おかしいだろって思って」

 振り返れば「女性だからそれが当たり前」だと思っていたことや、女性の扱いについて不思議なことがいくらでもあった。年齢を聞かれると「やめてよ!」「もうおばさんじゃん」というやり取りがあること。そもそも、女性に年齢を聞くのは失礼だという風潮。これまでの人生で気づかずに生きていたあらゆることに、差別が含まれていると自覚した。

「私が思うフェミニズムは、その問題に立ち向かって解決したいというよりも、性別や年齢、国籍などの『らしさ』にとらわれていることを解体して自分自身を取り戻すこと。その上で、バラバラなお互いの多様性を尊重し合うこと。私はアーティストとしてその実現を本気で目指しています」