飼い主のいない保護猫の里親探しを目的にした猫カフェ「ネコリパブリック」(以下ネコリパ)を運営する河瀬麻花さん。「ボランティアではなく自立したビジネスで世界中の猫を幸せにしたい」という河瀬さんのストーリーをお届けします。

河瀬麻花さん。岐阜県出身。大学卒業後、日本語教師の資格を取り、広く海外を歩く。2005年ベーグル専門店「エルクアトロギャッツ」をオープンし、楽天市場に出店。14年に自走型保護猫カフェ「ネコリパブリック」を岐阜で開店。現在、全国6店舗のほか、物販専門店「NECOREPA STORE」を運営している
河瀬麻花さん。岐阜県出身。大学卒業後、日本語教師の資格を取り、広く海外を歩く。2005年ベーグル専門店「エルクアトロギャッツ」をオープンし、楽天市場に出店。14年に自走型保護猫カフェ「ネコリパブリック」を岐阜で開店。現在、全国6店舗のほか、物販専門店「NECOREPA STORE」を運営している

震災時に動物ボランティアに関わる

 現在、岐阜、大阪、東京、広島で店を展開する河瀬麻花さんは、猫のために各地を奔走する毎日だが、前職は全く違う業界にいた。

 「実家が岐阜のパン工場で、その一部門としてベーグル専門店を立ち上げ、小さな店舗とネット通販を運営していました」

 ネット通販が盛り上がり始めた2005年に楽天市場に出店。ショップのページデザインを工夫し、店名と商品モチーフに好きだった猫を使用したところ、「猫のパン屋さん」として瞬く間に人気店に。月商が3000万円を超える月もあったという。

 「寝る間を惜しんで夢中で働いていました。楽天市場の店主の勉強会にも参加し、異業種の人とのネットワークも広がって、この人脈は今も生きています」。

 だが、2011年の東日本大震災が河瀬さんの人生を大きく変えることになる。

 「原発事故で福島に残された動物をレスキューしているボランティア団体のことを知り、自分にできることを考えて、売上金を寄付するためのベーグルセットを販売しました。すると、これが飛ぶように売れたんです。思いがあるものには人はお金を使うし、私たちも売る意味がある、と実感した出来事でした」。

 動物ボランティアへの関わりをきっかけに、地元・岐阜で保護猫活動を手伝うようになるが、課題も目の当たりにした。

 「発信力がないから寄付が集まらず、自分たちの持ち出しでなんとか運営している状況でした。また、成猫は譲渡が決まりにくい。保護猫活動をもっと広めるには、寄付頼みでなく、自立したビジネスにする必要があると考えるようになりました」。

河瀬さんは、保護猫活動をもっと広めるには、寄付頼みでなく、自立したビジネスにする必要があると考えるように
河瀬さんは、保護猫活動をもっと広めるには、寄付頼みでなく、自立したビジネスにする必要があると考えるように