釣った魚を魚市場が買い取り

 2018年秋、新たな企画も始動。熱海魚市場と交渉し、観光客が釣った魚を魚市場が買い取るサービス、「ツッテ熱海」をスタートさせた。買い取り金額は地域限定クーポンに交換することで、地元に還元する仕組みだ。

「ツッテ熱海」では、提携する釣り船で釣った魚は鮮度保持のため氷締めされる。乗船証明とともに熱海魚市場に漁師気分で持ち込むと、予想競り値から手数料を引いた金額を、熱海市内の飲食店などで使える「熱海ツッテクーポン」として交換。買い取りは1尾から可能で、金額は魚種や人気度などで変わる。加盟船などは「ツッテ」参照
「ツッテ熱海」では、提携する釣り船で釣った魚は鮮度保持のため氷締めされる。乗船証明とともに熱海魚市場に漁師気分で持ち込むと、予想競り値から手数料を引いた金額を、熱海市内の飲食店などで使える「熱海ツッテクーポン」として交換。買い取りは1尾から可能で、金額は魚種や人気度などで変わる。加盟船などは「ツッテ」参照

目標があると仕事はつらくない

 ツッテの認知度は徐々に上がってきているが、収入は会社員時代より低い。各地への遠征費も、貯金を切り崩しながら賄っている。

 「20代は、やりたい仕事よりも条件を優先していました。今のほうが大変なことは多いですが、かなえたいことが先にあるので、つらくはないんです」。

 ツッテを通じて釣り船に乗った魚嫌いの少年が、釣りたてのアジを食べ、魚好きになった。食育にもなる釣りを通しての地域活性に手応えを感じつつある。

 「釣りをベースにした観光コンテンツを作り、地域をより盛り上げていきたいです」

全国各地の釣り船に乗り、「ツッテ」で記事を執筆。乗船時間や料金などきめ細かな情報が好評だ。中川さんの写真は、スマホの無線シャッターで自撮り。右は、東京湾で釣って調理してもらった「人生最高のアジフライ」
全国各地の釣り船に乗り、「ツッテ」で記事を執筆。乗船時間や料金などきめ細かな情報が好評だ。中川さんの写真は、スマホの無線シャッターで自撮り。右は、東京湾で釣って調理してもらった「人生最高のアジフライ」
釣った魚は地元の店で調理してもらう。持ち込み可能な店の情報もツッテで紹介している
釣った魚は地元の店で調理してもらう。持ち込み可能な店の情報もツッテで紹介している

中川めぐみさんへの一問一答

Q1・好きな魚料理は?

A・釣りたてのおいしさを実感したのが、アジフライ。まだ身に水分を蓄えているので、揚げるとふわっふわでジューシーに。感動!

Q2・初心者が釣りを楽しむコツは?

A・お金がかからないからと、堤防に行っても釣れません。まずは手ぶらで釣り船に乗ってみて。道具も借りられ、魚は魚群探知機で探してくれ、釣り方も教われます。費用の目安は3~4時間で4000円から。釣った後は持ち込み可な店で宴を!

Q3・海の男はちょっと怖そう?

A・口が悪く感じるのは、危険も起こり得る船の上で手短に伝えようとするから。ひるむと、その関係性のまま。動じず、こっちも大声で「教えて!」と言うと、面倒見よく接してくれます。

Q4・落ち込んだときのリセット法は?

A・近所の銭湯に行き、サウナに入って、汗をかいた後にビールを飲む。たっぷり汗をかくと、沈んだ気分もすっきりリセットできます!

取材・文/松田亜子 ポートレート写真/洞澤佐智子

日経WOMAN2018年12月号掲載記事を再構成
この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります