真鯛やメバルにアジ。釣り船での釣果や、釣れたての魚を下ろした一皿。船上で飲むビール。「釣り」を決してマニアの特殊な趣味にとどめず、釣り船で楽しむ人を増やして、地域の魅力を伝えていきたいと日々奔走する中川めぐみさんのストーリーを紹介します。
きっかけは釣りがテーマのECサイト運営
中川めぐみさんが運営・発信をする釣り情報サイト「ツッテ」には、笑顔があふれる釣り体験記事が満載だ。
初めて釣りをしたのは2013年ごろ。当時勤めていたグリーで釣りゲームにちなんだECサイトを提案したことがきっかけで、東京湾から釣り船に乗ると、アジが10尾釣れた。「釣り=マニアックな趣味という印象が変わりました。釣り船なら道具を借りられるし、料金は手頃なものも。何より、釣った魚での飲み会が楽しくて、はまりました」。(笑)
以降、各地の釣り船で釣りを楽しむうち、地方の食や文化に魅せられ、地域活性への思いが大きくなっていく。
「何もない町」という地域住民の言葉に、地元・富山で東京に憧れていた頃の自分を重ねた。「地域の良さを伝える入り口として、釣りを活用しようと思いました。観光地で見るのは地域のよそ向きの顔ですが、釣り船に乗ると、地元の人々との触れ合いから、町の素顔に触れられるんです」。
2018年3月にツッテを立ち上げ、肩書きは「釣りアンバサダー」に。35歳で会社員という安定を手放し、起業計画も資金もないまま独立。「一歩踏み出すのなら、年齢的にも今だと思った」ことも背中を押した。
釣りマニアに向けた情報とは一線を画し、ツッテが発信するのは、初心者が釣りを通じて地域の魅力を発見できるようなプランや情報。まずは「1年で100釣り記事」を目標に、三日にあげず海に出ている。ツッテの記事には、中川さんの自撮り写真も多数掲載。それは、自身のブランディングのためでもある。
「釣りを通しての地域や漁業活性のため、まず私自身が信頼され、発言力を持てたらと考え、積極的に自分を露出中です」