ICF会員ライフコーチとして活躍するボーク重子さん。ずっと自信が持てず、やりたいことが分からず苦しかった日々を経て、大切なのは、「パッションを堂々と伝えられる」ことだと気づいた彼女のストーリーを紹介します。

ボーク重子さん
福島県出身。米・ワシントンDC在住。大学卒業後、外資系企業に就職。29歳で渡英し、サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートで現代美術史の修士号を取得。結婚を機に1998年に渡米、出産。2004年、アジア現代アートギャラリーをオープン。現在は、ICF会員ライフコーチとして活躍。近著は『世界基準の子供の教養』(ポプラ社)。その他、著書も多数。

やりたいことが分からず苦しかった日々

 「自信が持てず、何をするにも『私なんて……』が口癖。他人の目を気にしてばかりいる自分が嫌でした」。過去の自分をそう振り返るのは、「全米最優秀女子高生の母」であり、著書『世界最高の子育て』がベストセラーとなったボーク重子さん。

 現在は、ライフコーチとして、日本人向けに子育てにも自分の人生にも生かせる「SMARTゴール」という目標達成ツールを使った、コーチングを行う専門家だ。

 32歳でアメリカ人の夫と結婚し渡米。コネも人脈もゼロからキャリアを積み、39歳でアートギャラリーを設立。アートを通じた社会貢献が評価され、オバマ前大統領らとともに、ワシントニアン誌で紹介された。華麗な経歴とパワフルな生き方から主体的に人生を切り開いてきたかのように見えるが、自分らしく生きられるようになったのは30代半ばからだそう。

 「それまでは自信が持てず、自分探しが続いていました。一方、ワシントンの女性たちは夢や情熱を持つ人ばかり。『何がしたいの?』と聞かれても答えられなくて。パーティーでは壁際にポツン……。ひとりの女性としてどう生きたいかを語れるようになりたいと強く思ったんです」

 情熱を持って生きる大切さを痛感し、自分を見つめ直した結果、アートを通じてアジアのエネルギーや素晴らしさを伝えたいという夢が生まれた。まずは美術館のボランティアからスタート。面倒な依頼にも実直に向かう姿勢が評価され、徐々に重要な仕事を任されるようになり、人脈も広がった。その後、貯蓄を元手に個人でアートディーラーを始めたところ、毎回完売。それが自信につながり、2004年に念願のギャラリーを開業。VIP顧客が名を連ねるトップギャラリーへと成長させた。

 「パッションを持ち、それを人に堂々と伝える。女性だってなんでもできるという気持ちを持つ。意見ははっきり伝える。『私はこういう人間です』と言えるようになり、やっと自分に自信が持てるようになりました

 子育てでは、「勉強しなさい」と1度も言わず、IQや偏差値など数値化できる能力ではなく、人間力=非認知能力を鍛える教育法で娘が「全米最優秀女子高生(*)」に。

*米国の女子高生が知性やリーダーシップなどを競う大学奨学金コンクールで優勝した

コロンビア大学に通う娘のスカイさん(左)。ずっと仲良し!
コロンビア大学に通う娘のスカイさん(左)。ずっと仲良し!

 それを機に、日本で著書を多数出版。ライフコーチとして全米、日本各地で子育て、キャリア構築などについて、講演会やワークショップを実施するように。長い間、生き方に迷い、悩んだ経験があるからこそ、伝えられることがあると信じている。「50歳を超え、人生はもっと楽しくなってきました。今後は日本でライフコーチのメソッドを広げるのが夢です」