「モノが多いとカッコ悪い」と時代を先読みし、61歳で個人間レンタルサービス「Alice.style」を起業させた、ピーステックラボ社長の村本理恵子さん。ウーマン・オブ・ザ・イヤー2021の受賞者でもあります。「自分の転身は常に、人との出会いがきっかけだった」と語る彼女のストーリーを紹介します。

村本理恵子さん ピーステックラボ 代表取締役社長 
1979年から時事通信社子会社で消費者調査に従事。89年専修大学経営学部専任講師、97年同大学教授。2000年ガーラ代表取締役会長就任。05年法政大学経営大学院教授、07年エイベックス入社。16年ピーステックラボ設立。

還暦過ぎの起業は「第5の人生」

 個人と個人が、家電などのモノを有料で貸し借り。2018年秋にそんなサービス「Alice.style」が誕生した。仕掛け人は、16年の起業時点で61歳の村本理恵子さん。還暦過ぎの起業だが、実は彼女の第2の人生ではなく「第5の人生」だ。

 「10年という単位が自分のなかにあって、ずっと約10年ごとに新しい挑戦をしてきました」。力むことなく、当たり前のことのように語る村本さん。稀有(けう)なキャリアを支えてきたのは、「常にワクワクしたい」と願うエネルギーと、時代の先を読むセンス、そして人との出会いを大事にしてきた生き方だ。

 最初に勤めたのは、顧客からマーケティング調査を請け負う会社。そこで実績を積むうちに、「受注仕事ではなく、もっと自分が興味のある分析をしたい」という思いが募る。するとあるとき、会社の元先輩が勤める専修大学で、マーケティングの専任教員のポストが空いたと知る。入社から10年、これが最初の転身だった。

 「カルチャーショックはありました。例えば、学生たちは顧客企業と違い、全員に私の説明を聞くモチベーションがあるわけではない。話し方や聞いてもらう工夫が大事だと学びました」

 3つ目のキャリアはネット企業の役員。専修大学時代から黎明(れいめい)期のネットビジネスに関わっていたが、00年、上場準備に入っていたネット企業ガーラに「会長」の肩書で招かれる。「大学で70歳まで働くこともできたけれど、もっとワクワクしたい気持ちが大きくて