この連載では起業家や管理職など、組織をけん引する女性にリーダーとして活躍するヒントをお届けしています。今回話を聞いたのは、NPO法人「DEAR ME」 の代表理事とサステナブルファッションブランドを展開するcoxco (ココ) の代表を務める西側愛弓さん(27歳)。「ファッション×貧困問題」に興味を持ったきっかけや起業前にあえてIT企業へ入社した経緯といった今までのキャリアや西側さんのリーダー観について聞きました。

【前編】西側愛弓 NPO立ち上げ&起業で社会課題に貢献
【後編】ファッションで貧困問題と向き合う 27歳起業家の挑戦 ←今回はここ

おしゃれな祖父の影響でファッションに目覚める

 西側愛弓さんはおしゃれな祖父の影響で、小さいときからファッションが大好きだったといいます。

 「祖父はアパレル関係の仕事をしていたわけではないのですが、柄の服やカラースーツなどを着こなしていて、子どものときから憧れの存在でした。祖父と買い物に行ったとき、『どう見られるのかを気にするより、愛弓が着たい服を着なさい』と言われたことが印象に残っています」

 「ファッション以外に好きなものがなかった」という中学、高校時代を経て、大学在学中の2015年に「ファッション×社会問題」をテーマにしたNPO法人「DEAR ME」を立ち上げました。

 「外国が好きで、大学生のときはひたすらアルバイトをして、お金がたまったら海外旅行に行く、ということを繰り返していました。その中で、どの国にも貧困地区があり、衣服も満足に着ることができない人たちがいることを知りました。

 また、同時期にドキュメンタリー映画『The True Cost』を見て胸が苦しくなりました。発展途上国にある洋服の生産現場は子どもや女性が過酷な労働環境で働かざるを得ない状況だと知り、大好きなファッションが悪になっていることに衝撃を受けたのです。

 ファッションでこれらの社会問題に貢献したいと思い、NPO団体『DEAR ME』を立ち上げました。DEAR MEでは、ランウェイを歩くように、子どもたちに胸を張って人生を歩んでもらいたいという思いから、フィリピン・マニラの子どもがモデルとしてステージに立つファッションショーを企画しました」

 ファッションショーを開催するために、協力してもらえる現地のNPO法人をインターネット上で探した西側さん。しかし、当時は英語を満足に話せず、フィリピンに知り合いもいなかったため、50件以上のNPO法人に電話をしても全く相手にされませんでした。

 「今思えば、日本人の大学生から突然『ファッションショーをしたい』という電話が来ても、相手にしないですよね(笑)。若かったからこそ、恐れずにできた行動だったのだと思います。最終的には、友人たちにも協賛する企業へのアポイント電話などを手伝ってもらい、無事にファッションショーを開催することができました」