企業や組織をけん引する女性たちに、リーダーとして活躍するヒントを聞くこの連載。今回話を聞いたのは、サントリーが2022年から発売しているサントリージン「翠(SUI)ジンソーダ缶」のブランドマネージャーを務める上田紗帆さん(28)です。上田さんは社内公募制度に応募し、22年3月にマーケティング部門へ異動しました。マーケティング未経験ながら、約10もの他部署と連携し、マーケティング計画の策定や販売活動の検討などの業務を担っています。多くの他部署と連携するために大切にしていることや、「柔らかい巻き込み力」でチームを先導するポイントを聞きました。

【前編】ジンブームけん引 サントリーマーケターの情報収集法
【後編】サントリーマーケター10部署と連携 ジン飲料でヒット ←今回はここ

入社7年目で社内公募制度を利用し、マーケティング部門に挑戦

 2016年にサントリーホールディングスへ新卒で入社した上田紗帆さんは現在、22年3月に発売されたサントリージン「翠(SUI)ジンソーダ缶」のマーケティングマネジメントを担当しています。上田さんが同部署に異動したのは、実は商品発売と同時期だといいます。

 「入社後は、ものづくり部門に配属され、生産現場で働く従業員向けの企画運営に3年半務めた後、広報部門でテレビや新聞へのPR業務を3年間担当しました。どちらの部門もやりがいはあったのですが、もともと日本文化が好きだったので『日本発の商品を国内外に広げる仕事がしたい』という思いがあり、販売戦略の中心を担うマーケティング部門に異動したいと考えるようになりました」

 そこで、上田さんは特定の部門の要員を公募する『社内公募制度』に応募。22年3月にRTD・LS事業部のマーケティング部門へ異動することができたといいます。

 「今までとはまったく違う部門なので、『自分はほしいと思ってもらえる人材だろうか』と不安な気持ちはありました。しかし、ものづくり部門で開発者の商品に対する思いを間近で見ていた経験や志望動機が評価され、希望の部署に配属してもらうことができました」

 マーケティング部門は、生産部門やデザイン部門、包材部門など、なんと約10の部署と連携しています。さらに、営業部門と販売戦略を考えたり、ブランドのマーケティング計画を策定したりするなど業務は多岐にわたり、上田さんは先輩と連携しながらチームをけん引しています。

 異動したばかりのときは「何をしたらいいのか分からない」「何が分からないのか分からない」「そもそも自分の能力でできるものなのか」と悩んでいた時期があり、「異動直後は、新卒時代に戻ったような気持ちだった」といいます。