この連載では、リーダーとして活躍する女性たちに、チームや組織をけん引するヒントを聞いています。今回話を聞いたのは、オンラインカウンセリングプラットフォーム「cotree(コトリー)」を運営するcotree代表の西岡恵子さん(31歳)です。西岡さんはスタートアップ企業では珍しい2代目代表。同社代表になることを決めた大きなきっかけは、実の父から愛情を受けられなかったり継父の死を経験したりなど、幼少期に経験した強烈な原体験から。後編では、スタートアップ企業の2代目代表になるまでのキャリアや、リーダーとして働く魅力などについて聞きました。

【前編】コトリー代表西岡恵子 毎日違う店、違う服を選ぶワケ
【後編】コトリー代表西岡恵子 強烈な原体験を経営に生かす ←今回はココ

食の力で誰もがありのままでいられる瞬間や場所を

 西岡さんは新卒で森永製菓に入社し、法人営業を担当していました。食品メーカーへの道を選んだのは、「多くの人に価値を提供したい」という思いからでした。

 「実父から愛情を受けられず、継父は病気で亡くなるなど、幼少期にセンシティブな出来事を立て続けに経験し、感情や思いを誰にも共有できず、もがいていた経験から、『誰もがありのままでいられる瞬間や場所を提供したい』と思うようになりました。就職活動のときに自分の人生を見つめ直したら、家族で囲む食卓が自分らしくいられる場所だったことを思い出しました。食を通して自分らしく生きられる世の中にしたいと思い、食品メーカーに絞って就活をし、内定をもらった企業の一つが森永製菓でした。

 実はこのときからメンタルヘルス領域には興味があったのですが、当時はまだ珍しいジャンルで、サービスも多くはありませんでした。また、自分の経験を武器にして、その業界へ挑戦できる覚悟がなく就職先の選択肢にはありませんでした」

cotree代表取締役の西岡恵子さん。cotreeは24時間どこでも、通話やビデオ、テキストを通して、登録しているカウンセラーに相談できるサービス。カウンセラーの数は220人以上
cotree代表取締役の西岡恵子さん。cotreeは24時間どこでも、通話やビデオ、テキストを通して、登録しているカウンセラーに相談できるサービス。カウンセラーの数は220人以上